だからって終わってるわけじゃない

アラフォー、バツイチ、ヒキニート、だからって終わってるわけじゃない・・からツライのかもしんないけど

File No.14 クニマサおんちゃん

父の同僚に「クニマサおんちゃん」という人がいた。

 

父よりだいぶ年下そうに見えたクニマサおんちゃんは、リーゼントのような髪形をしていて一見すると怖そうだったけど、ノリが良く小学生だった私や兄と対等に遊んでくれた。

 

家に父の知り合いが来る時は、部屋の隅で静かにしているか別の部屋でテレビを見ているかしていた私たち兄妹だったが、クニマサおんちゃんがきたときはこぞっておんちゃんの隣を奪い合う。

 

クニマサおんちゃんは酔いがまわってくると、腕相撲や兄とプロレスの技のかけ合いをした。4の字固めをかけられ悶えるクニマサおんちゃんに私は

 

「裏っ返せばいいんだよ!!」

 

と声を張り上げアドバイスした。(当時4の字固めの攻略法として浸透していた)クニマサおんちゃんがきた夜は、家中に笑い声が響いていた。

 

友達にも「クニマサおんちゃんていうすごいおもしろいおじちゃんがいるんだよ」といつも自慢していた。

 

ある時、友達と二人で遊んでいたら道でばったりクニマサおんちゃんに遭遇した。

 

私はおんちゃんに駆け寄る。「おう」と手を上げるクニマサおんちゃんはお酒が入っていないせいか、少しよそよそしかった。そのまま去ろうとするクニマサおんちゃんに私は飛びついた。

 

「倒してやるぞ~」

 

右足にしがみつく。外でこんなことするのは初めてだったが、友達にクニマサおんちゃんとの仲の良さを見せつけたかったのだ。

 

「やめろって」クニマサおんちゃんが困ったように言った。私はかまわず体を揺らす「おら~」「やめろ」「むお~」「おい」「負けないぞ~」

 

 

 

「ふざけんなっ!!」

 

 

 

頭を叩かれ私はようやくクニマサおんちゃんから離れた。

 

「なにやってんだお前、調子のんなよ!あっち行け!!」

 

吐き捨てるように言うとクニマサおんちゃんは行ってしまう。

 

「・・・」

 

へへへっとあいまいな笑みを浮かべ友達の元へ戻った。

その後、家の冷凍庫にできた霜をとって遊んでいると、上のほうに小さなツララを見付けた。一つ折って頭にのせる。

 

「こうすると涼しいよね」

「(頭)痛いんでしょ」バレバレだった。

 

この一件は恥ずかしくて家族にも話さなかったが、直後にクニマサおんちゃんが会社をやめたことを両親の会話から知った。

 

あの日クニマサおんちゃんは、仕事でたまりにたまった鬱憤をエライ人にぶつけた。エライ人も虫の居所が悪かったらしく、売り言葉に買い言葉。殴り合いのけんかに発展し、同僚を巻き込んで大騒ぎになった。そして後ろ足で砂を蹴るように会社を出た直後、私と遭遇したのだ。

 

 

 

 

 

と幼い私は思うことにした。

 

 

 

あれ以来、クニマサおんちゃんとは会っていない。