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だからって終わってるわけじゃない

アラフォー、バツイチ、ヒキニート、だからって終わってるわけじゃない・・からツライのかもしんないけど

E.T体験(※マネしないでね)

過去

映画「E.T」言わずと知れた名作中の名作だ。

 

ご存じない方のために簡単に内容を説明すると、孤独な少年が地球外生命体と遭遇。友達になり家にかくまうが、大人達の魔の手が忍び寄る。少年は家族や友達と協力してE.Tをオウチに帰してあげようと奮闘するのだが・・

 

家族愛とピュアな友情に溢れた素晴らしい作品だが、 本題はこれじゃない。

 

まだE.Tを見たことのなかった私がくしくもE.T体験をしてしまったときの話だ。

 

それは小学4年生の秋だった。私は兄の5段ギアがついたTハンドルの自転車を勝手に拝借し、友達と3人ツーリングとしゃれこむことにした。

 

ペダルを踏んで、黄色に染まり出した稲穂が波打つ田舎道をぐんぐん進む。私達を邪魔する物はなにもない。澄んだ風がお前は自由だと前髪を揺らした。頭にはこれも兄から拝借した白いヘルメット。何者にも邪魔されない自由な私達であったが、校則にうるさい教師だけは恐ろしかった。

 

そこらにいるおじさんおばさんが、そこらにいる子供を「〇〇さん家の▲▲ちゃん」とすぐ様言えるような地域なのだ。用心することにこしたことはなかった。

 

しばらく行くと急な坂にさしかかる。

 

自転車でこの坂から滑走したらどんなに気持ちいいだろう。私達は競うように坂を上り始めた。しかし坂は思った以上に急勾配、立ちこぎをしてもタイヤが前に進まない。中ほどでペダルから足を下ろし、自転車を押す。

 

なんとか坂を上り切った時にはみんな肩で息をしていた。振り返るとよくこんな所を上って来たものだと思う。私達は当初の目的を達成すべくさっそく自転車にまたがった。

 

 

 

 

「ヒョー!快適~!!」

 

 

 

眼鏡に虫が当たってはじけ飛んでいく。坂を下る私達はスターを獲ったマリオのように無敵であった。楽しい時間はあっという間である。気がつけば坂の一番下にいた。

 

「もう1回やろう」

 

私達は完全にハイになっていた。何度も坂を上っては下る。そうしているうち友達が坂の頂上の少し上に小道があるのを見つけた。坂とは反対方向になっているのだが、ここからスタートすればもっと勢いがつくと言うのだ。

 

私は躊躇した。

 

上から降りるには坂の頂上でスピードを殺さずUターンする必要がある。ただでさえ兄の自転車、サドルは自転車を傾けてやっとつま先が付く高さである。うまく曲がる自信がない。ハンドル操作を誤れば土手に突っ込み下の畑に落ちることになる。大参事はまぬがれない。

 

そこまでの危険を冒すつもりはないと私は坂の頂上から降り続けた。友達は上のスタートラインから上手にUターンして私を追い越していく。夕方、これで最後の1回にしようという時友達が絶対大丈夫だから全員揃って上から降りようと言い出した。

 

渋る私を二人がかりで説得してくる。

「突っ込みそうになったら自転車から飛び降りればいいよ」その言葉に私は頷き、坂の頂上からさらに上の小道に自転車を押した。スタートの合図で友達二人が飛び出し、私も負けじと食らいつく。

 

 

 

 

(よしっ、ここでUターンだ!)

 

 

 

 

思った時にはもう私は宙を舞っていた。目撃者がいたならきっとE.Tの名シーンを連想したに違いない。ズドドッと衝撃があって次に視界に入ったのは、鼻にかろうじて引っかかるひしゃげたメガネと自転車のTハンドル。何故だか前輪が180度回転してコッチを向いていた。

 

「大丈夫?」

 

友達が草に捕まりながら土手を下りて来る。私は坂の上から土手に飛び出し、畑に着地する手前でひっかかっていたのだ。フレームの歪みを適当に直して眼鏡をかける。ヘルメットのお陰で頭は無事だったが、体のあちこちが痛み肘から血がにじんでいた。

 

両脇で平謝りする友達を責めるより、自転車のことが気になった。勝手に乗り回して壊したとあっては兄にどんな制裁を加えられるかわかったものではない。3人で自転車を引き上げハンドルを戻す。変な音はするが走るのに問題はないようだった。

 

私達はこのことは秘密にしようと申し合わせ家に帰る。

 

 

 

 

 

 

 

「ヒョー!サイコー!!」

 

 

 

 

 

 

最後にもう1回頂上から坂を下って。 

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