だからって終わってるわけじゃない

・・からツライのかもしんないけど

アニサキスハル2 ―あからさまに嫌そう―

兄と犬との出会いは突然だった。

 

家族でドライブしてた際、たまたまわんわんフェスなる看板を見つけて寄ってみることにしたのだ。

 

「色んな種類のワンコが集まってるんだって」

 

「ボステリいるかもな」

 

兄はジョジョの奇妙な冒険を読んで以来、ボストンテリアという種類の犬にぞっこんだった。今でこそ公園でボステリを連れた人に出会うこともあるが、当時はまだ珍しく、近くのペットショップでボステリを置いているところは皆無。

 

今日こそ実物を見れるかもしれないと、兄は浮足立っていた。

 

広い会場は人に埋め尽くされている。

 

ワンコの姿は見えなかったが、漂う獣臭に彼らの存在をはっきり感じることができた。

 

「アルパカだ!」

 

さっそくはぐれる私

 

しばらくアルパカをもふもふさせてもらい満足すると、会場をめぐった。半分はミニ動物園、残りの半分はペットショップが出店していて、財布と環境さえ許せばその場でワンコを家族に迎えることができるらしい。

 

様々な種類の子犬達に目を細めていると

少し先に兄がいた。興奮気味に手招きしてくる。

 

「いたぞ」

 

兄の目の前のケージに小さな白黒の塊がある

(ハムスターみたいだな)

 

「どうする?」 

 

「どうするって・・まさか」

 

ケージの下についた値札を真剣に見ている。

 

「飼わないよ!」

 

ぴしゃりと言ったのは母だった。

私達の思惑を察して、異を唱える。

 

「俺が面倒見るし、病院とかかかる費用も全部もつ。」

 

「そんなこと言っていっつも最初だけでしょ、昼間めんどう見るのはお母さんなんだから」

 

「でかくならない種類だし、手かからないって」

 

「でもねぇ!」

 

「ちょっと抱いてみますか?」

 

ここが勝負時と判断したのだろう、ワンコの管理をしているらしき女性が白黒を腕に抱えている。

 

「抱いたら情が移っちゃう、いいですいいです・・あらかわい」

 

母、陥落。

手続きを済ませ車に戻った。

 

「ただいまー」

 

「なんだ?!飼っちまったの?!」

 

後部座席で寝ていた父が飛び起きる。

 

「知らねーぞ、ヒメちゃんに怒られても」

 

父の横にはそれまで兄の寵愛をほしいままにしてきた犬、ヒメちゃんが座っていた。

 

「だーいじょうぶだって」

 

ケージから子犬を取り出し、嬉しそうに自分の鼻と子犬の鼻をくっつける兄

 

「これからよろしくね」

 

と子犬の尻をヒメちゃんの前に持ってくる。

 

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 (・・あからさまに嫌そうだな)

あそこまで気持ちが顔に出てる犬、初めて見た。