だからって終わってるわけじゃない

アラフォー、バツイチ、ヒキニート、だからって終わってるわけじゃない・・からツライのかもしんないけど

沖縄編12 ー地獄編ー

 

「あなたは今、地獄にいます」

 

「・・じ、地獄ですか?」

 

「そうそう、これが現在を示すカードだから」

 

「ホントだ~けっこう地獄っぽいですね」

 

小さなテーブルをはさみ占い師さんとむかいあう。

カップルや観光客が物珍しそうな視線を残し、通り過ぎていった。

 

 

 

ソーキそばでお腹を満たしたあと、ワンピースをきた女性に声をかける。

 

「いくらですか?」

 

海外ではめをはずそうとする、中年エロおやじのような問いかけになってしまったことを悔やむ私に、占い師さんは気にする風でもなく料金の説明をしてくれた。

 

ざっと自分のことを話す。

 

昔から何をやっても続かず。人付き合いも下手。最初は好印象を持たれるが、だんだん相手の要求にこたえるのが辛くなり、キレるか消えるか体を壊すかしてしまう。唯一続いた相手とは結婚したが、別れてしまった。今は実家に身を寄せているが家族ともギクシャクしており、引きこもりがちの生活を送っている。

 

口に出すと、ニュースに出てくる事件の容疑者の略歴みたいだ。

 

「お金のことを気にしていますね?」

 

占い師さんがコインが描かれたカードを指して言った。

 

(・・そりゃ最初に料金のこと聞いたし、第一お金のこと気にしてない人なんてこの世にいないと思うけど。)

 

初めての占いを楽しむ気ではいたけれど、ここまで当たり前のことを言われると興ざめしてしまう。

 

そして、次に出たのが冒頭の"地獄カード"である。

 

マジか。

 

今、誰かが私の位置をGPSで確認したら現在地"地獄"と出るの?ウケる。

 

自分はてっきり天国にいると思っていた。日常を離れ、気候のいい南国でたった1人、最高じゃないか。でも地獄なんだよね?

 

「いま」がどのあたりを指すのかにもよるけど

 

この数日であれば天国だし、この1年であればわりかし地獄といえるかもしれない。それともこれまでの人生を総括した結果、現時点の評価が"地獄"ってことなのだろうか?

 

占い師さんの声がだんだん遠のいていく。潜在的に私の耳が現実を知ることを拒んでいるのか、疲れと満腹感が誘発した眠気によるものなのかはわからない。

 

私はぼうっとする意識の中で必死に考えた。

 

(そりゃ離婚もつらかったし、人間不信だし、いいことないけど家がないわけじゃない、こうして沖縄に来ることだってできた。わりかしいい方じゃないの?・・だけどそれは世間一般と比較した場合の"いい"であって、私個人に限って考えれば親や友達や周りの人たちの顔色を見て、よく映るように必死にもがいてでも結局いいように使われて擦り減ってきた。充分"地獄"じゃないの?針山地獄みたいなわかりやすいやつの方じゃなく、真綿で首しめる系のタイプ!私地獄慣れしてた?ぬるま湯で長風呂してたら、お湯と空気の境界線がわからなくなるみたいな?長いこと地獄にいたせいで地獄にいることすらわからなくなっていたのかも)

 

お金のことを気にしているが当たり前のように、地獄にいることも当たり前に感じていることを見抜いたのだとしたら、この占い師さん

 

 

 

 

すご腕

 

 

 

 

夜、ホテルに戻りベッドに倒れこんだ。

「じーごくーじーごくー、たーっぷり地獄っ♪」

 

たらこマヨネーズの音程で自作の歌をうたいながら、明日は邪気払いに朝日を拝みに行こうと決める。