だからって終わってるわけじゃない

アラフォー、バツイチ、ヒキニート、だからって終わってるわけじゃない・・からツライのかもしんないけど

沖縄編 1 ーカラモドシー

(うおおおおおおぉぉぉ死ぬ!死ぬコレ絶っ対、死ぬ!!)

 

私は体を硬直させ歯を食いしばる、まるでそうすることが助かる唯一の手段だと信じているかのように、飛行機の座席と一体化していた。

 

頭の中には数年前の出来事が再生される。

 

冬の沖縄に友達と二人、1泊2日の旅行に行った時のことだ。

 

「早い便だから、朝食は向こうで食べようよ」

 

少しでも沖縄を満喫したかった私の提案を、友達は快諾してくれた。

機内では飲み物が無料だということに感動、空腹を紛らすためリンゴジュースをがぶ飲みした。写真をとったり友達と話したりしてるうちに時間は過ぎ、濃紺の海原の向こうに陸地が見えてきた。空港を目前に飛行機は大きく旋回する。

 

(着いた)

 

初めての飛行機、初めての沖縄。こみ上げるものがあった。飛行機は着陸し、砂利道を走るワゴン車のようにガタガタと機体が揺らす。私は思い切って言った。

 

「・・やばいかもしんない」

 

「えっなにが?」

 

窓の外を眺めていた友達が、振り返って仰天する。

 

「ちょっと大丈夫?!顔真っ白だよ!」

 

「気持ち悪いの」

 

旅行で浮かれていたがよくよく考えれば私、元から胃が弱い上に乗り物酔いするたちだった。なのに、朝食も取らず酔い止めも飲まずに飛行機に乗ってしまうとは・・後悔してももう遅い。

 

それから地獄の時間が始まる。「やばい」を繰り返す私と慌てふためく友達、機体は揺れ続け、胃の中では胃液とリンゴジュースのカクテルができつつあった。

 

「外!外見てみ!沖縄だよ!!」

 

友達の声になんとか首を向けると、上下に揺れる窓枠の中、高速で過ぎ去る木・木・隙間・木・隙間・木・・・

 

「もうダメ、ふくろ~!!」

 

慌てて友達がエチケット袋を取り出し、口に当ててくれる。そうしている間に飛行機は速度を緩め、機体の揺れるガタガタ音は止んでいた。しかし私の吐き気はノンストップ。飛行機が止まると同時に

 

 

 

 

「うええええええええ」

 

 

 

 

何もでなかった。何も食べていないのだから当然かもしれない。でもどうせこうなるならリンゴジュースくらい出したかった。大騒ぎしたすえの"からもどし"。吐く以上に恥ずかしい。

 

私の「うええええ」は到着アナウンスを待つ乗客達の耳にしっかり届いていたはずだったが、乗客はもとよりC.Aさん達までが知らないふり。それがせめてもの情けだったのだと思いたい。

 

私はエチケット袋をバッグにしまい、ふらつく足で飛行機を降りた。