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だからって終わってるわけじゃない

アラフォー、バツイチ、ヒキニート、だからって終わってるわけじゃない・・からツライのかもしんないけど

鮮烈な高校デビュー

過去

ルーズソックスを穿いた山下達郎を想像してみて欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

女子高生時代の私がそれだ。

 

 

 

 

 

 

夢の高校デビューを狙って自分で染めた髪はまだらな茶色。ただただ伸ばした髪はくせ毛で毛先に行くほど膨れ上がっている。

 

どうにか憧れのサラサラストレートヘアーにしようと試みるも、当時は縮毛矯正などやっている美容室は少なく。板をあてがい何時間も待つ方式が一般的であった「不自然なまっすぐ頭になるよ」と恐らく経験者の母の脅しもあり、私は1回1万円で徐々にストレートヘアーなるというトリートメントを地元の美容師の口車にのせられ使用していた。

 

万円をドブに捨てたことになる。

 

高校デビューと言えばコンタクト。初めてのコンタクトはハードレンズだった。行った眼科がハードしか取り扱っていなかったのだ。手入れは簡単だが、強風に吹かれたりゴミが入っただけで猛烈な痛みに襲われる。

 

 

 

しっかし、誰だ?! ”メガネを外したらみんな美少女” 的風潮を世の中に広めたやつは!

 

 

 

コンタクトにさえすれば自動的にかわいくなるもんだと思い込んでいた私は、大きな挫折を味わうことになる。

  

そんな私に追い打ちをかける事件がおきた。

 

登校はバスだった。といってもドラマのようにサラリーマンや他校の生徒が乗ることはない。ど田舎の峠を越えるぐねぐね道を40分走り続ける小旅行である。病院通いのおばあちゃんと同じ学校の先輩、それと運転も口も荒いバスの運転手が乗っているだけだ。

 

特にヤスオという運転手の日は最悪だった。おばあちゃんが乗ったそばからバスを発車させ、よろけると

 

 

 

 

「座ってろ!!」

 

 

 

 

と怒声が飛んでくる。地震体験車のように揺れる車内で私達はつり革や取っ手に必死に捕まった。バスに乗り込むと1日の運勢を占うように、運転手のネームプレートを見上げるのが日課になっていた。

 

ある時、バスに乗り遅れた私は(姿が見えていてもバス停にいなければ容赦なく置いて行かれる)それを口実に学校を休むと言った。母は猛烈な勢いで怒り私を車に押し込んだ。何故だか一緒に当時飼っていた犬も乗り込んで来る。

 

「今なら間に合う」

 

母はアクセルを踏んだ。

 

バスを追い抜いて最寄りのバス停で拾ってもらおうというのが母の作戦だった。私はやめてくれと言った。バスに乗ってるのは知り合いばかりだし、鬼の形相の母が運転し何故か犬まで乗っている車で追いかけて行くなんて。きっと追い抜く際に同級生が気づいて騒ぎ出すに違いない。思春期の娘にはあまりに酷な話である。しかし母は全く聞き入れず、ハンドルにかじりつきながら乗り遅れた自分が悪いと私を罵り続けた。

 

母の格闘の甲斐あって

 

峠を越えたあたりでバスに追いつき1つ先のバス停で私を下ろす。安心したのもつかの間、犬まで一緒に降りてしまった。山に逃げようとする犬を私は慌てて追いかける。なんとか捕まえて戻ると目の前をバスが通り過ぎて行った。

 

後で聞いたが、病院通いのおばあちゃん達が

 

「いまの子、乗るんでなかったのかい?」

 

と言っていたそうだ。

 

母は犬と私を車に乗せると、もう一度追い越しをかけると言い出した。もう降車するバス停はすぐである。私は頼むから学校まで送ってと懇願した。犬を抱えてバス停近くにたたずむ山下達郎をみんな目撃したはずだ。そこに今からもう一度追い越しをかけて乗ろうだなんて恥の上塗り以外の何物でもない。半泣きで縋ったがキレた母は止められなかった。

 

結局、降車するバス停の数個手前でバスをキャッチ。乗客達の好機の目の中、犬の毛だらけの制服でバスに乗り込むこととなった。ネームプレートを見上げる。私の胸に”ヤスオ”の名が深く刻まれた瞬間だった。

Netflix火花お題「夢と挫折」

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