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だからって終わってるわけじゃない

アラフォー、バツイチ、ヒキニート、だからって終わってるわけじゃない・・からツライのかもしんないけど

File No.3 金髪のお兄さん

かわいい人

 

 

昔、彼と同棲していた頃ワンルームのアパートに住んでいた。

 

 

川沿いで眺めの良い部屋だったが、なにせ風当りが強く外に洗濯物を干したら物干し竿ごと川にふっとばされそうな場所だった。

 

そのせいかは知らないが入居者は少なく、隣にもその隣の部屋にも人の影はなかった。入居して数ヶ月、同じ階の階段を挟んだ反対側の部屋に若いカップルが住んでいるらしいことを知る。

 

彼女の方は黒髪で大人しそうな印象だったが、彼氏の方は金髪で小柄ながら目つきが鋭くヤンキーっぽい服装をしておりあえてお近づきになりたいと思えない風体だった。

 

ある日、私は洗濯した物を乾燥機にかけようとコインランドリーに出かけることにした。カゴを手に階段を下りていると下から金髪のお兄さんが上ってきた。部屋に戻ろうにも階段を半分下りかけている、どうすべきか迷っているとお兄さんが顔を上げばっちり目が合ってしまった。

 

「こんにちは」

 

意外にも向こうから挨拶してくれた。私は通行の邪魔にならないよう前にカゴを持ち直し、階段を下りながら「こんにちは」と言った。正確には

 

 

 

 

 

 

言いながら階段を落ちていた。

 

 

 

 

カゴに足を取られ正座の姿勢で階段を滑って行ったのだ。私はお兄さんの目の前で止まり、その勢いで持っていたカゴをひっくり返す。

 

「大丈夫ですか?!」

 

「へっへへ大丈夫です」

 

全然大丈夫ではなかったが痛さと恥ずかしさでちょっとどうかしていた。半笑いで洗濯物を拾い立ち去ろうとすると金髪のお兄さんに呼び止められる。

 

「あの!」

 

拾いそこねた洗濯物を渡された。「すいません、ありがとうございます」お礼を言うと照れたように頷き階段を上って行く金髪のお兄さん。

 

 

 

 

 

 

 

私の手には湿った男物のブリーフがのっていた。

 

 

 

その日から”金髪=コワい人”から”金髪=他人の湿ったブリーフを拾ってくれる優しい人”へと認識が変わった。別の日、気が大きくなった私は金髪のお兄さんと暮らしている黒髪の彼女に駐車場で出くわし陽気に挨拶する、が無視された。

 

人は見かけによらないものである。

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