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だからって終わってるわけじゃない

アラフォー、バツイチ、ヒキニート、だからって終わってるわけじゃない・・からツライのかもしんないけど

軽トラの王子様 1

「それじゃこの辺で、あとはカノちゃんよろしくね」

 

そう言い残すと知り合いのおじさんは去って行った。

 

「行っちゃいましたね・・はははっ」

 

「ははは・・」

 

気まずい、エレベーターを降りる際他の人に先を譲ったにもかかわらず間違えて「閉」を押してしまった時ぐらい

 

 

 

 

 

 

気まずい

 

 

 

 

 

何故にどうしてまたこんな・・私は数日前のことを思いをはせる。

 

発端はお見合い写真

 

父の知り合いのおじさんがどうしても会ってほしいと、写真をもってきた。お見合いはこりごりだったし、見てから断るのは失礼にあたると受け取るのを拒んだのだが

 

「写真といっても会社の忘年会でとったやつだし気楽にさ。」

 

(その気楽にってのが厄介なんだよ!)

 

と思いつつ写真を裏返すると、奇妙な光景が目に飛び込んでくる。

 

 

(・・何これ、心霊写真?!)

 

 

そこには男性が女性にお酌されている様子が切り取られていた。

女性は白い着物を着てかがんだ姿勢、髪で顔が隠れている。男性も横を向いている状態で顔が不鮮明だ。見合い写真というよりは「貞子に お酌される 俺」というタイトルがぴったりの1枚だった。

 

「あら~、なんでこれを見合い写真に選ぶかねぇ」

 

横で覗いていた母も首を傾げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(もしかして、とんでもなく面白い人かもしれない。)

 

 

 

 

 

 

 

 

生来の好奇心がうずき出し、会うだけならと2度目のお見合いをOKしてしまった。こうして私はまた、初対面の男性と気まずい時間を過ごしている。

 

「あの白い女性は誰ですか?実在するのですか?」

 

聞きたいことは山ほどあるが、鼻筋が通り整った顔立ちのお見合い相手は話すどころかまともに目すらあわせてくれない。

 

(照れ屋だと聞いてはいたけれど・・)

 

たまに視線が合うと、ビジュアル系バンドのヴォーカルのように顔前に手をかざし自らの視線を遮ってしまう。

 

(・・ここまでとは)

 

それでもお見合い初体験の彼とは違い、コチラは2度目。リードしてあげなくてはと妙な使命感が湧いてくる。

 

「あの、お休みの日とかは何を・・」

 

「スロットです。1日中打ってます。」

 

見合いの席で、あまりそういうこと言わない方がいいよ。

(とか私が言うのも変だよね)

 

話を合わせようと、知っているスロットの知識を総動員する。

 

「メダルって換金率がいいらしいですね、当たったらけっこうな金額になるって聞きました」

 

「でもリスクも高くて、1日で1カ月の給料吹っ飛んだり」

 

笑っている。ダメだこの人、お見合い以前の問題だ。早くも体力ゲージが0に近づく。私が心の中で涙をぬぐっていると、彼が時計を気にしてそわそわしだした。

 

「どうかしました?」

 

「いえ、この後いくところがあって」

 

(そういえばおじさん、縁起を担いで「大安」にセッティングしてたもんだから、相手は午後から仕事があるとか言ってたっけ)

 

「あっお仕事ですね、じゃあ行って下さい(私に構わずどーぞどーぞ)」

 

嬉し笑いを隠していると、お見合い相手は困ったように言った。

 

「でも佐藤さん(おじさん)に昼飯一緒に食うよう言われてるので」

 

君は犬か

 

(おじさんに言われたら仕事があろうがなんだろうが、お見合いしてご飯一緒に食べるんかい)ツッコミを入れたいのを必死に堪え、私は言う。

 

「じゃ、急がなくちゃですね」

 

数分後、無言でシーフードピラフをかきこむ二人がいた。

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