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だからって終わってるわけじゃない

アラフォー、バツイチ、ヒキニート、だからって終わってるわけじゃない・・からツライのかもしんないけど

目に虫が入ったときの対処法

過去

 

子供部屋から見える山が気になっていた。

 

田んぼの向こうにあるこんもりとした山、側面中央部が数字の8を横に倒したような形にはげている。そこだけ木が生えてないのだ。冬は8の字に雪が積もり、夏は8の字の緑地ができた。私はベッドに寝転がりながら指で8の字をなぞり夢想した。

 

あそこでハイジのように転げまわったらどんなに楽しいだろう。

 

お弁当を食べたりちょうちょを追いかけたり木登りしたり・・きっと最高の秘密の庭になる。友達が遊びに来ている時、私は考えていたことを話してみた。

 

 

 

「行こうよ!」

 

 

 

みんなノリノリだった。ノリノリでおにぎりを握り、レジャーシートと水筒を用意。遠足の時にしか使わないリュックにつめいざ出発。

 

メンバーはしっかり者でリーダー格のミナミちゃん、ちょっと泣き虫なユアちゃんそしてひょうきん者の私の3人だ。山の入り口まで歩いていく。思っていたより距離があったが、本番はこれからだ。

 

私はリュックから紙テープを取り出した。

 

森で迷わない工夫である。紙テープをスタート地点の木に巻き付け目的地までコロコロして行けば帰り道に迷うことはない。みんないい案だと褒めてくれた。が、テープはすぐになくなった。仕方なく紙テープを回収。適度な長さにちぎって枝にひっかけて進むことにした。

 

林道を抜け藪をかき分け、ようやく8の字の緑地に着いた。芝生の丘のような場所を想像していたのだが、実際は雑草が膝の高さまで生えており歩くたび根っこに足を取られてしまう。傾斜がきつく転げまわったら最後藪につっこんでいくしかなさそうだ。せっかく来たのだからとレジャーシートを敷く場所を探す。

 

よく見ると牛のフンがそこらに落ちていた。

 

注意深くフンを避け、草の間にシートを敷くと自分の家を眺めながらおにぎりを食べた。

 

「・・・・」

 

「・・・・・」

 

「・・・・帰る?」

 

10分もいなかったと思う。

 

紙テープを回収しつつ山を下っていると、突然ユアちゃんが悲鳴を上げた。目にゴミが入ったというので私とミナミちゃんでのぞきこむ。極小の虫がひっぺがした目の下の肉に乗っていた。それを聞いて半泣きになるユアちゃん。

 

「泣くな!泣いてたら虫がとれないよ!」

 

ミナミちゃんが喝をいれる。私はティッシュを手におろおろするしかなかった。ミナミちゃんがユアちゃんの顔を抑え、ティッシュの角で虫をすくい上げようと試みる。その時、ユアちゃんの目から涙が溢れ涙の粒に巻き込まれた虫が一緒に落ちてきたではないか。

 

号泣するユアちゃんの手を取り大喜びする私たち、ミナミちゃんは急に「わかった!」とまじめな顔をして私達を制すると

 

 

 

 

 

 

「目に虫が入ったときは、泣け!」

 

 

 

 

 

さっきと正反対のことを堂々と言い放った。

 

私たちは気が付いたら民家の裏の土手にいた。8の字の緑地はその家の裏山で、牛を放牧するのに使っていた場所らしいと後で知った。

 

秘密の庭にはそれから1度も行っていない。

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