だからって終わってるわけじゃない

アラフォー、バツイチ、ヒキニート、だからって終わってるわけじゃない・・からツライのかもしんないけど

宿題こけし

 

 

 

夏休みの宿題がこけしだった。

 

 

 

小学4年くらいだったろうか・・小刀な彫刻刀の使用が許可された年頃だったと記憶している。今思えば小学生に伝統工芸品であるこけしを作れという、小学校はなんとも重責を課してくれたものだと思うが

 

当時の私は素直に張り切った。

 

工作の時間は好きだったし、こけしをうまく作ってみんなに自慢することを考えると居ても立っても居られなかった。夏休み開始早々、材料探しに野を駆け回る。しかし、こけしに適した木など落ちているものではない。

 

私は諦めて遊びに行った。

 

そうして夏休み最後の週、こけしを作っていないことに気づくのである。友達に聞くと何とか形にして色を染めたり仕上げに入っているところだと言った。

 

まずい。私にはクラスで”おもしろくてそこそこできる”という一定の位置を確保してきた自負がある、宿題を忘れるということは自分でその地位をドブに捨てるようなものだ。なんとかしなくては・・庭をうろつく私の目に1本の杭棒が留まった。

 

 

 

 

(これだ!!)

 

 

 

長さ20cm、幅5cm、厚さ2cm程の直方体。よくよくみればこけしにピッタリではないか!杭棒だけに片方の先がとがっているがそこはノコギリで落とせばいい。こけし特有の首のくびれを彫りさえすればほぼ完成だ!最少の労力で最大の成果を得る!!

 

私は自分の閃きにほれぼれした。

 

まぁヤスリをかけたとてこの厚さじゃ直立させるのは難しいが、こけしが直立していなくちゃならない法がどこにある?寝型のこけし?!いいじゃない!最高だ!!

 

私はこけし界に新風を吹き込むべく作業に取り掛かった。

 

杭棒はささくれ立っている割りに丈夫でなかなか切れない、ノコギリの刃が入っていかないのだそこだけ父に手伝ってもらう。ようやくとんがり部分を落としヤスリをかけたら今度はくびれだ。

 

こちらも思っていたより時間が掛かる、小刀で手に傷を作りながらようやく首らしきものができた。染色、ささくれ立った表面にみるみる絵の具が吸い込まれていく。

 

これではいくら絵の具があっても足りない。

 

私は当初予定していた全体を塗るものから水玉の模様を書き込むことで妥協した。こうして何とか新学期に間に合わせ、学校へ行くと1人の女子生徒のこけしに度肝を抜かれる。

 

もうこけしこけし、原型の木の形がわからないほどの完成度。親に手伝ってもらったというより親に作ってもらったのがまる分かりである。

 

 

 

 

(これは先生もヒクだろう)

 

 

 

と思っていたら・・あっさり金賞もらっていた。それどころかクラス皆の前で褒めたたえられている。非力な女子生徒が小刀や彫刻刀を駆使して作ったとは誰も思っていないのに・・褒めるならその辺に落ちていたもので、ない知恵絞って新型こけしを完成させた私だろうが!!この手の傷を見ろ!!

 

大人の汚れた世界を知った夏だった。

 

みんなの作品はしばらく、廊下に置かれたテーブルに作者の名前付きで飾られた。私の新型こけしは当初の思惑とは違った形で注目の的となる。

f:id:kano8:20160812093412j:plain

 ↓更新の励みになります↓