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だからって終わってるわけじゃない

アラフォー、バツイチ、ヒキニート、だからって終わってるわけじゃない・・からツライのかもしんないけど

女図鑑 上

 

 

 

目が覚めたら見知らぬ男性が隣に寝ていた。

 

 

 

という経験が1度だけある。それは20代になったばかりの頃、友達と短期のアルバイトで温泉地に行ったときのことだ。私はすぐさまそこで燃えるような片思いに落ち、彼を振り向かせるために試行錯誤の毎日を送ることになる。

 

職場は女の園・・というより女の坩堝であった。様々な経験を積んで強くしなやかに年をとった先輩Aさん、様々な経験を積んだ結果”強さ”だけに特化してしまったジャイアンジャイアンにひたすら媚びを売るスネ夫スネ夫に媚びを売るスネツグ、彼氏と一緒に来た美人のBさん、バツイチで子供を実家に預け来ているCさん、お笑い担当Dさんなど、一人ひとりの人生を掘り下げていけば、立派な図鑑ができそうなほど多種多様な”女”がそこにはいた。

 

仕事の内容はお客様を部屋にご案内、宴会での料理の準備・食事の配膳・お酒の補給、部屋の掃除・後片付け。など一般的な”仲居”のそれであったが、その日組む先輩によって気持ちの持ちようは大きく変わる。

 

Aさんに当たれば、テキパキと指示が出て多少の失敗も多めにみてもらえる。年の近いBさんは、恋愛相談にのってくれた。仕事終わりに外灯の乏しい灯りの下で、凍えながらBさんを待つ彼氏の姿をよく見かけた。以来、二人は私の理想のカップルとなる。Cさんはなんでも自分でやりたがるので、気を使うが体力的には楽だった。ジャイアンに当たってしまうと最悪だ。やることを聞いてもなかなか教えてくれない、自発的に動くと「勝手にやるな」と叱られる。失敗しようものならバカ呼ばわりされ、翌々日までみんなの前で笑い者にされた。

 

ある日私はお笑い担当Dさんと、部屋の片づけをしていた。時間までに二人で1つの階の部屋、全てを整えなくてはならない。急いで作業し終り、少し休もうと料理用エレベーターの前で話していた。

「疲れましたね」

「ちかれたびー」

「・・なんですか?」

「知らない?むかし流行ったギャク」

「知りません」

「えー!ちかれたびー知らないの?!」

「語尾に”びー”を付けるんですか?」

「そうじゃなくて疲れた時に言うの、ちかれたびーって」

「ちかれたびー?」

「そうそう」

「何が面白いのかわかりません」

しばらくDさんに、”ちかれたびー”の使い方についてレクチャーを受けた。

その後、下の階でスネ夫と作業していた友達に「二人の会話聞こえてきて、笑いこらえるの大変だったよ」と言われる。Dさんのギャグは私には通じなかったが、エレベーターシャフトを通して友達には響いていたらしい。

 

 
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