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だからって終わってるわけじゃない

アラフォー、バツイチ、ヒキニート、だからって終わってるわけじゃない・・からツライのかもしんないけど

スネ夫と私 1

過去

小学生高学年になると、私はサエとアキと遊ぶことが多くなった。

 

サエは明るくおもしろい、口が悪く怒りっぽいところがあるけれど(男子と平手で殴り合いし出した時は本気でビビった)大概笑いに変えてしまう人ゆえ男女とわず友達が多かった。

 

アキは真面目で何事もはっきり主張するタイプ、合唱で指揮者をやり「男子ちゃんとやってよ!」と泣いてしまう熱血漢だ。

 

私はといえば、そこそこ明るくそこそこ成績も良くそこそこ優しいお人好しだった。サエとアキと私が集まると"ジャイアンスネ夫のび太みたいだ"と言われた。

 

あながち的を得ていないとはいえない。。

 

サエは人を笑わすことに長けたジャイアンだった。笑いながら命令し、拒否すると本気で怒る。拳ではなく"笑い"がサエの武器だった。ジャイアンに必要なのは自分をフォローし崇め奉る従順なしもべ。親友という名の奴隷だ。

 

アキと私は二人ともメガネをかけていたのでなんとなくのび太の役を取り合った。しかしサエは満足しない。

 

「アキってうざくね?」

「そう?」

「うざいうざいこの前なんかさ~」

 

片方がいない時にもう片方の悪口をはじめる。私にスネ夫の役をやれというのだ。しかしここで流されてはいけない。一緒になってアキの悪口を言ったが最後、本人に告げ口されるからである。サエはアキに告げ口する際「私も言っちゃったんだよね。ごめん」と先回りして許しを得ているのだから抜け目がない。

 

アキはスネ夫となり私を責める。

 

(元はサエが言い出したことなのに)と思いながらそれを言う勇気もなく謝るしかないのだ。恐らく”自分”という絶対的権力者の下でアキと私が結託しないよう講じた作戦だったのだろう。

 

サエと私達の間には地上とマリアナ海溝の底ほどの絶対的な格差があったが、私達は傍目には親友のようにふるまっていた。アキと私は外見が似ていた、やせ型で背も同じくらい。二人ともメガネをかけているしいつも一緒。それだけで

 

「こいつら双子みてぇ」

 

とからかわれる。先生でさえ区別がつかず名前を間違うことがあった。それをアキは喜んでいるようだった。誰かが冗談を言って

 

「みかんかよ」

 

と小声でツッコむ私の横でそれを聞きつけたアキが

 

「みかんかよ!みかんかよだってカノちゃんが!!」

 

と大声で言ったりするから堪らない。人と同じであること安心感を得るタイプの人間もいるだろうが、私は違う。自分は自分他の子と同じなんて言われるのは心外だった。

 

ある時、アキが髪を切るというので「どうか髪型だけは同じにしないで」とお願いした。理不尽な提案なのはわかっていたが、髪型まで一緒になってしまっては完全に”双子認定”されてしまう

 

それだけは避けたかった。

 

私は短く切ったばかりだったからこれ以上はヘアチェンジできないし

 

「わかった、大丈夫」

 

と言ったアキは翌日、私と全く同じ髪型で登校”双子確定”である。アキは私の所へきて「どう?」と感想を求める。どうもなにも・・言葉がない。

 

「髪切るのがそんなにわるいことかなあ!」

 

アキの声が背中を追いかけてきた。様子のおかしい私にサエが聞いてきた。私は初めて親友として真面目に相談した。

 

 

「ふーん、で?」

 

 

サエには興味がなかったらしい。私が話したことは明日にはアキの耳にも入っていることだろう。

 

私は家に帰った。

 

悲しくて悔しくて涙が止まらなかった。ジャージのままベットに倒れ込み泣いていると母が上がってきた

 

「どうしたの?」

 

私はサエに話したようにまた事情を説明した。

 

「なーんだそんなこと、あんたもくだらないことでメソメソしてんじゃないよ。」

 

言うだけ言って去って行った。

あの絶望的なまでのショックと悔しさはなんだったんだろう(続く)

 

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