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だからって終わってるわけじゃない

アラフォー、バツイチ、ヒキニート、だからって終わってるわけじゃない・・からツライのかもしんないけど

スネ夫と私 3

中学3年になって私はサエやアキといるより、別のグループの友達といる方が安らぎを感じるようになった。お腹を抱えて笑うことは少ないけれど冗談めかして言った言葉にいちいち

 

 

(あれ?それって嫌味?気のせい?)

 

 

と疑心暗鬼になる必要がなかったからだ。

 

高校選びの基準に学力・校風などがある(制服なんていう人もいるかもしれないが)はっきりとした目標がない人は”友達”を基準に選ぶべきだと思う。学校と家以外に居場所がない場合、それは一生を左右する問題になるからだ。

 

 

 

 

私は一生の失敗を犯した。

 

 

 

よく考えもせず先生の薦める高校を選びサエ達と同じ高校になった。そこから私の地獄は始まる。アキは高校のそばに下宿をしてそこから通うようになった。部活にも入り私達とは疎遠になる。

 

一方高校デビューに失敗し、新しい友達ができない私。あっという間にクラスの人気者になったサエ。私はスネ夫になりきって一番嫌いな人を頼りにするほかなかった。登下校を一緒に過ごす。

 

しかし、その数時間が苦痛で仕方なかった。

 

バスが来るまで、バスに乗ってる間中クラスで新しく友達になった人の悪口をずっと聞かされた。「寝てくから」と言っても肩を叩かれ起こされる。ちょっと意見を言うとキレられる。もうどうしていいのかわからなかった。

 

最も私を苦しめたのはこの苦しみを誰にも理解してもらえないことだった。

 

中学時代の友達に相談しても「いい人そうなのに」と信じてくれない。親に相談しても「いい子じゃない、悪い面ばかりじゃなく良い面をみるようにしなさい」と叱られた。サエは用心深く、よほど近くの人間にしか本性をみせないのだ。(数年後、サエと仲良くなった私の友達はひどい裏切りに遭い今ではサエの名前を聞くだけで辛そうな顔をする)

 

 

 

 

 

 

嫌いな人に愛想笑いをしている自分が誰より嫌いだった。

 

 

 

 

サエといると強い犬にひっくり返ってお腹を見せている犬になった気分になる。かといって味方がいない中、たった一人になる勇気もなかった。

 

 

そんな私達であったが、サエが機嫌の良い時は普通の友達のように過ごせる時もあった。テスト前日、アキの家で徹夜しようということになったのだ。

 

朝方、目を覚ましたサエは寝ているアキをおいて買い物に行こうと言った。二人で自転車を漕ぐ。日の上る前の空は薄紫の雲で覆われて美術の本で見たダリの絵のように不思議な景色を作っていた。

 

高台で日の出を待つ。

 

太陽がの光が雲を這ってオレンジの炎が頭上の海を燃やしていくようだった。私達はただその景色に圧倒された。サエは

 

「このことはアキには内緒にしよう」

 

と言った。私は頷いた。

 

 

 

あの時終わっていればよかったのに

 

 

ドラマのように朝焼けに顔を染める二人で画面がとまり、感動的な音楽が流れ出演者の名前が上がってくる。音楽が終わると黒い画面に白文字で

 

「この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません」

 

と出るのだ。

だけど現実はそうはいかない、人生は続く。

 

 

私は何度もサエから逃げようとしサエはそれを許さなかった。一緒に笑いながら”消えろ”と念じたことが何度あったろう。もはやサエにいっているのか自分にいっているのかわからなかった。

 

何年もしてサエは謝ってきたが私は「なんのこと?」という風を装って笑って許した。気にしてないふりをするのがささやかな抵抗だった。

 

できることならサエと出会わない人生を歩み直したい。人見知りの私のこと、サエなしでも失敗したかもしれない。だけどあそこまで自分を嫌いにならずに済んだはずだ。

 

辛い時、私を支えている言葉がある。何かの本に書いてあった言葉

 

 

 

 

幸せは最大の復讐

 

 

 

 

私を殺し続けたサエが、いまの私を生かしている。

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