だからって終わってるわけじゃない

・・からツライのかもしんないけど

スネ夫と私 3

中学3年になって私はエリカやチヅルといるより、別のグループの友達といる方が安らぎを感じるようになった。お腹を抱えて笑うことは少ないけれど、冗談めかして言われた言葉にいちいち

 

 

(あれ・・それって嫌味?気のせい?)

 

 

と疑心暗鬼になる必要がなかったからだ。

 

高校選びの基準に学力・校風などがある(制服なんていう人もいるかもしれないが)はっきりとした目標がない人は”友達”を基準に選ぶべきだと思う。学校と家以外に居場所がない場合、それは一生を左右する問題になるからだ。

 

 

 

 

私は一生の失敗を犯した。

 

 

 

よく考えもせず先生の薦める高校を選び、エリカと同じ高校になった。そこから私の地獄は始まる。チヅルは通学も別、クラスも別れ私達とは疎遠になった。

 

一方高校デビューに失敗し、新しい友達ができない私。あっという間にクラスの人気者になったエリカ。私はスネ夫になりきって一番嫌いな人を頼りにするほかなかった。登下校と放課後はずっと一緒。

 

その時間が苦痛で仕方ない。

 

バスが来るまで、バスに乗ってる間中クラスで新しく友達になった人の悪口を聞かされた。「寝てくから」と言っても肩を叩かれ起こされる。ちょっと意見を言うとキレられる。ウォークマンを買って音楽を聞くという対策もしてみたが、事故を装って壊された。もうどうしていいのかわからない。

 

最も私を苦しめたのは、この苦しみを誰にも理解してもらえないことだった。

 

中学時代の友達に相談しても「エリカちゃん、いい人そうなのに」と信じてくれない。親に相談しても「悪い面ばかりじゃなく良い面をみるようにしなさい」と叱られる。

 

エリカは用心深く、よほど近くの人間にしか本性をみせないのだ。(数年後、エリカと仲良くなった中学時代の友達は、ひどい裏切りに遭い今ではエリカの名前を聞くだけで辛そうな顔をする)

 

 

 

 

 

 

 

嫌いな人に愛想笑いをしている自分が誰より嫌いだった。

 

 

 

 

エリカといると大きな犬にひっくり返ってお腹を見せている犬の画が浮かんだ。ひっくり返っているのはもちろん私である。かといって味方がいない中、たった一人になる勇気もなかった。

 

私に逃げが場ないと悟ると、エリカは笑いながら私の悪口を私に言うようになった。

エリカに持ち上げられ私がちょっとやる気を出したり前に進もうとすると、思い出したくないような恥ずかしい失敗話を持ち出して笑い者にする。

 

 

3年間、その繰り返しだった。

 

 

私がどこでキレるのか試していたのだろうか。キレた私とケンカをしたかったのかもしれない。スネ夫に成り下がった私にできるささやかな抵抗は、彼女の望みを叶えないこと。

 

 

 

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気にしてない風を装った。

 

そんな私達であったが、エリカの機嫌によっては普通の友達のように過ごせる時もあった。テスト前日、チヅルの家で徹夜しようということになったのだ。

 

朝方、目を覚ましたエリカは寝ているチヅルをおいて買い物に行こうと言った。二人で自転車を漕ぐ。日の上る前の空は薄紫の雲で覆われて美術の本で見たダリの絵のように不思議な景色を作っていた。

 

高台で日の出を待つ。

 

太陽がの光が雲を這ってオレンジの炎が頭上の海を燃やしていくようだった。私達はただその景色に圧倒された。エリカは

 

「このことはチヅルには内緒にしよう」

 

と言った。私は頷いた。

 

 

 

あの時終わっていればよかったのに

 

 

ドラマのように朝焼けに顔を染める二人で画面がとまり、感動的な音楽が流れ出演者の名前が上がってくる。音楽が終わると黒い画面に白文字で

 

「この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません」

 

と出るのだ。

だけど現実はそうはいかない、人生は続く。

 

 

私は何度もエリカから逃げようとしエリカはそれを許さなかった。一緒に笑いながら”消えろ”と念じたことが何度あったろう。もはやエリカにいっているのか自分にいっているのかわからなかった。

 

何年もしてエリカは謝ってきたが私は「なんのこと?」ととぼけてみせた。エリカがしたことが「ゴメン」の一言で帳消しになるわけがないし、彼女が改心したと喜んだとたん崖下へ突き落されるパターンも何度も経験していたから。

 

できることならエリカと出会わない人生を歩み直したい。人見知りの私のこと、エリカなしでも失敗したかもしれない。だけどここまで自分を嫌いにならずに済んだはずだ。

 

辛い時、私を支えている言葉がある。何かの本に書いてあった言葉

 

 

 

 

幸せは最大の復讐

 

 

 

 

私を殺し続けたエリカが、いまの私を生かしている。

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