読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

だからって終わってるわけじゃない

アラフォー、バツイチ、ヒキニート、だからって終わってるわけじゃない・・からツライのかもしんないけど

File No.1 コンビニ店員

かわいい人

 

コンビニの店員がふざけている。

 

早朝にカフェラテを買いに行くと必ずいる10代後半~20代前半と思しき青年。いつも客がいようがいまいがお構いなしでもう一人の女性店員に話しかけている。私が近くで商品を選んでいようと声のトーンが下がることもない。この前はサンドイッチを並べながら

 

 

 

 

「おれベーコン!」

 

 

 

と叫んでいた。どんな自己紹介だ。インターネットの普及により誰でも気軽にクレームが送れる昨今。一億総クレーマー時代とも呼べるこの時代に彼のような人間は珍しい。心が強くなければ客前でベーコンなんて名乗れないはずである。

 

彼はレジさばきも鮮やかだ。

 

スキャンが異常に早くあっと言う間に袋詰め終了。通り一遍のことは言ってるしやっているのだが全体的に2倍速。私がお金を出す頃には退屈そうに爪をみていたりする。

 

何度も接客の仕事についたが、彼のような同僚に出会ったことはない。みんな裏で何を言っているにしろ、お客様の前では礼をつくし誠実な態度をしめす。そうしておけば間違いがないからだ。

 

普段消極的で人付き合いが下手な私でも"店員"という仮面を被り、お客様を第一に考えて行動することに徹しさえすれば”良い”とされる接客業は得意分野だ。客の前という理由で、他の店員と興味もないのに興味のあるふりをしてお互いにあたりさわりのない会話をする必要もない。その分仕事に集中できるというものだ。

 

だから彼のように普段の顔と仕事の顔を同時に出せる人物を見つけると困惑する。

 

どうしたらそんな風にできるのだろう?周りの目が気にならないのだろうか?店内にいるわずか5分かそこらの間に何かしら不真面目をやらかすのだ1日観察したら一体何が起きるのだろう?

 

店に行くたびに彼の姿を探してしまう。きょろきょろしながら歩いていたら突然裏から出てきた彼とぶつかりそうになった。相手は肩に担いだ段ボールに視界をはばまれ私の存在にすら気づいていない。

 

仕事においては100あれば100の力でやることしかできなかった私にとって、彼の力の抜き加減は脅威である。映画に出てくるようなアメリカの店員。客にため口をきいて友達のようにアドバイスなんかする店員がいるだろう。彼がそんなことをしている姿を見たことはないが、しそうな気配はムンムンだ。

 

なんなんだ、どうやったらそうできる?

 

別の日、こっそり目で追っていると彼はもう一人の店員になにやら声をかけ外に出て行った。そうか今日は真面目な日なのかと少しがっかりしながらカフェラテ片手に外に出ると、ふらふら歩きながら箒をふりまわしている彼がいた。

 

彼なら楽し気に話す同僚の声を聞きながらちょっぴり寂しい気持ちになることなんてきっとない。ミスした責任をとって自分から辞職しようと思い詰めることもないだろう。周りの人間も「誰?これやったの」「渡瀬くんです」「ああ・・じゃあま、しょうがないか」とかなるんだ絶対!

 

鼻歌を歌う彼の背中に視線を突き刺しつつ私は心の底から思う。

 

 

(キミに・・なりたい)

  ↓更新の励みになります↓