だからって終わってるわけじゃない

アラフォー、バツイチ、ヒキニート、だからって終わってるわけじゃない・・からツライのかもしんないけど

カーテンの向こう側 vol.2

AVコーナーに置いてある作品は、多少の違いはあれど総じて主題は”性交”であり、それは、ある程度の年齢が過ぎた人間にとって周知の事実。つまり、カーテンをめくること=エロが見たい人=エロい人とみなされる。

  

単に好奇心と探求心が旺盛で、カーテンの向こうがどうなっているのか見てみたい、インターネットで視聴できる女性向けAVとレンタルAVとの間に差異はあるのか調べてみたい、のだろうな。とは察してくれないだろうし、言ったところできっと信じてもらえない。カーテンから出てくる所を元同僚に目撃されれば、翌日「カノさん、AV借りてたわよ」とスキャンダラスに噂されるに違いない。言い訳しようにも

 

「私この女優好きなんです」

 

は焼け石に水だ。「お気に入りの女優がいるくらい見倒してるんだ」「仕事辞めてAV三昧の日々を送っているのね」と憶測が憶測を呼び、元職場に恰好のゴシップネタを提供することになる。ハイエナの群れに手羽先を投げ込むようなものだ。 

 

ここまで構えるのには性別も大きく関係する。ほとんどの成人向けビデオは男性用に作られており、店側もそれを想定して棚の構成を行っている。これは「男は助平」という通念がスギナのように、社会に広く深く根をはわせていることに由来し、同時に男性と対極に位置する女性が「助平ではない」という認識を刷り込んでいるのだ。故に女性がAVコーナーに立ち入るという可能性は、端から除外されている。もし平成の侍が、AVを借りている所を職場の人間に見つかったとして

 

 

 

 

 

「拙者も男ゆえ・・」

 

 

 

 

の一言で、相手は納得するのではないか。女性ではこうはいくまい。

 

いっそ男装して出直すか・・などという考えがよぎるが、昔買った角刈りカツラは、引っ越しの際に捨ててしまったし・・知り合いに遭遇した挙句、変装を見破られてしまったら・・・・これこそ万死に値する恥である。AV借りるのに何も命まで掛ける必要はない。

 

脳内で紆余曲折を繰り返しながら、しぶとくプロレスコーナーに張り付いていると、そのすぐ脇、上方の棚に成人向けビデオが並んでいることに気づく。女性向けはなかったが、女教師物・くノ一系・オフィス物。数は少ないがパッケージ裏を見ると、確かに”性交”メインの内容だ。

 

私はささっとケースから抜き取り、カウンターへ向かう。

 

さすがビデオ屋、カーテンの向こうに行ってみたいが行けない人向けのコーナーまで作るとは・・私のような人間が、カーテンをチラ見しながらうろついているのを見かねたのであろうか。お陰でようやくAVを借りることができた。店の心遣いに感謝する。

 

後はみるだけだ。家に帰るとさっそくパソコンにイヤホンを差して再生。イヤホンはきちんと差してあるか、音漏れはないか何度も確認してしまう。普段はそんなことないのに、突然兄や母が入って来やしないか気が気ではない。タイトルが画面に踊り、人が出てきた・・

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・なにこれ、つまんね

 

 

 

 

 

せっかく成人向けビデオを借りても、性交の場面までは早送りする男性がいると聞くが、演技の酷さ・支離滅裂なストーリーを考えれば納得である。2分で飽きた。唯一目を惹いたのは、受験生を鉢巻を巻いたナース達が誘惑するシーンだ。ホラーじみていて笑える。一応最後まで目は通したが、AVが全てこういったものだとしたら、”リスクを負ってまでカーテンの向こう側に行く意義”そのものに疑問が生じる。しかしながら、たった1つの事例で全体を判断するのは早計だ。

 

それに前述したことをまとめると、カーテンの向こう側へ行けるかどうかは”他人の目”にかかっていることに気がつく。正確に言うなら、”他人の視線を気にする自分”だ。他のお客にどう思われるか、中にいる男性たちにどう思われるか、店員にどう思われるか、それらの思いが自らの行動を抑制しているのだ。

 

となると、これはチャンスかもしれない。自分を変える好機。アラフォーになり、他人がどう思うかなど気にしている場合でない年齢に達しているのは、頭では理解している。理解はしているが、長年体に染みついた悪癖は簡単に拭えるものではないのだ。カーテンをくぐり成人向けビデオを借りるという行為は、他人の目を気にせず生きる訓練にうってつけではないか。

 

私のカーテンとの闘いは続きそうだ。

 

最後に ”白衣発情うずきっぱなし-ヘア無修正-” に ”顔のくだり”はなかったことを報告し、今回の調査結果とする。 

 
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