だからって終わってるわけじゃない

・・からツライのかもしんないけど

アニサキスハル1 ―ちょうどいい季節―

兄は犬が好きだ。

 

昔っから動物がたえなかった家なので自然といえば自然なのだが、いい年して浮いた話の1つもないせいか兄の犬熱だけが年々高まっているように思う。

 

休日の昼間

 

ふと見ると膝に犬を乗せ、世界の犬図鑑をめくっている。

車の助手席にはワンコ用のシートを設置し、ドライブ中犬が少しでも快適にすごせるように工夫した。

 

 

「お前はかわいいなぁ、チュッチュッ」

 

 

信号待ちの間、寸暇を惜しんで犬とイチャつく兄

後部座席からそそがれる私や母の冷たい視線など気にもとめない。

 

兄と犬はいつも一緒

それは寝る時も例外ではなかった。

 

夜、居間で爆睡している犬に兄が猫なで声を出す

 

「ほ~らハル(犬の名前)寝る時間だよ~」

 

目は開けるが犬は動こうとしない。

 

「しょうがないんだからぁ」

 

兄が犬を抱え、犬も待っていたかのように

「クー」と言う。

 

その一連の流れを毎夜見せられる私と母。

平和だ。平和だがゆがんでいる。

 

犬は江戸時代の将軍に捧げる宝物のごとく大事に大事に抱えられ、そのまま兄の布団まで運ばれる。

 

ハミガキを終えた私も、自分の部屋へ向かい階段を上った。

扉に手をかけると隣室から声がする。

 

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兄が犬に言っている。

 

確かに最近すっかり秋めいてきて、昼間は温かいが夜は冷える。誰しも毛布を出そうか迷う頃合いだ。

  

きっと暑い夏にはしんどかった犬の体温も、冷えた布団に心地よかったのだろう。

 

 

 

(つき合いたてのバカップルかよ)

 

 

 

私は心の中でツッコミをいれ、自分の部屋に入った。