だからって終わってるわけじゃない

・・からツライのかもしんないけど

わがまま娘 -恐らく史上最年少のマウンティング-

 

「これこれ、私が欲しかったやつ」

 

幼馴染の家、私はテレビを指さしながらミシン事件をボヤいていた。

 

「チラシまで見せたのにさ」

 

「ショックだね」

 

「しかも兄と二人して説教だよ」

 

「え~」

 

意地悪な母と兄に叱られる日々、唯一理解者である父は不在がちときている。

 

シンデレラ

 

ってこんな気分だったんだろうな

と怠け者のところは棚に上げ、勝手に同調していた。

 

「うたちゃんはクリスマス、何貰ったの?」

 

シルバニアファミリーだよ」

 

「かわいい~、いいなぁうたちゃん家のお母さんは優しくて」

 

「そうかな」

 

うたちゃんの両親は明るくノリが良い。

私達が家で騒いでいても怒らないし、たまに一緒に遊んだりして

子供心を理解してくれる人達だった。

 

(うたちゃん家に生まれたかったな)

 

何度思ったかわからない。

 

 

年明け、うたちゃんに呼ばれ遊びに行く。

いつものように居間に入っていくと

驚きの光景が待ち構えていた

 

 

 

「これってこれって」

 

私が欲しかったやつ 

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 「買ってもらっちゃった♪」

 

テーブルの上にピンクのミシンがのっていた

 

なぜうたちゃんが・・買ってもらったって

クリスマスでもない平日に?

クリスマスはクリスマスでシルバニアファミリー

もらってたくせに?!

 

そもそも手芸なんてやりたいそぶりも見せたこと

なかったじゃないなんで・・

 

 

 

そっか

 

 

 

欲しいなんて思ってなかったんだ

私にあの事件を聞かされるまでは

 

確かにことあるごとに張り合って

ケンカしてきた私達だけれど

 

(ここまでするか) 

 

 呆然とする私にうたちゃんが畳みかける。

 

「ごめんね~できるなら私のと交換してあげたいくらいだよできるなら」

 

口では謝りながらも喜悦の色は隠せない。

 

 

別に私の物が横取りされたわけじゃない

うたちゃんのお母さんは優しいから

ねだられてつい買ってあげたくなったのだろう。

うたちゃん、言い出したら聞かないし

 

となんとか心を鎮めようとしているのに

 

「ホントごめん、交換してあげたい気持ちでいっぱいだよ私のミシンと」

 

しつこく謝ってくる

 

「ほんっとうにごめん!」

 

「交換してよ」

 

言ってしまった。

 

「うたちゃんがいいなら今すぐ私のミシンと交換して」

 

「え、勝手にそんなことしたらお母さんに怒られる・・」

 

うたちゃんの声が小さくなっていく。

 

「できないんじゃん」

(する気がないなら最初から言うな)

 

私は玄関へ向かった

 

「どこ行くの?」

 

「帰る」

 

「ダメだよ、来たばっかなのに」

 

いつもとは違う私の迫力に

慌てたウタちゃんが追いかけてきた

かまわず進み続けると今度は私を

追い越し玄関のドアに鍵をかける

 

そして

 

 

両手には私の靴。

 

ぐぬぬっ)

 

幼馴染に靴をとられたシンデレラはお家に帰ることができません

二人のにらみ合いは、うたちゃんのお母さんが

買い物から戻ってくるまで末永く続きましたとさ。 

 

おしまわない

 

 

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