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だからって終わってるわけじゃない

アラフォー、バツイチ、ヒキニート、だからって終わってるわけじゃない・・からツライのかもしんないけど

File No.5 かなえちゃんの読書感想文

かわいい人

 

かなえちゃんとはそんなに仲が良かったわけではない。

 

かといって仲が悪かったわけでもなく、ただ小学校で少々成績が良いグループの一人としてお互いの存在を横目で認識していたくらいだった。かなえちゃんも私も活発な部類だったがジャンルが違ったのか競い合うようなことはなかった。

 

 

 

ある時状況は一変する。

 

 

 

かなえちゃんの書いた読書感想文が全国規模の賞をもらうことになったのだ。数々のコンクールで"佳作"を頂いてきた私には聞き捨てならないニュースだ。先生は大喜び、同級生の注目も一気に集まる。それまで成績優秀といえども突出したところのなかったかなえちゃんがいきなり私のシマで全国規模の成果を叩き出したのだ。内心穏やかではない。

 

 

私はかなえちゃんに近づき探りをいれることにした。

 

 

何かコツがあるのかもしれない聞き出してやる。しかし、仲良しでもない私が突然話しかけたら警戒されるだろう。ここは慎重に・・さり気なく・・廊下にいるかなえちゃんにそっと近づき声を掛ける。

 

 

 

 

 

 

 

「あんまり作文とか得意そうじゃないのに今回はどうしたの?」

 

 

 

 

率直に聞いてしまった。そんな私にかなえちゃんはあっけらかんと答えた。

 

「本の解説まる写ししたの」

 

衝撃の自白。

 

かなえちゃんは読書感想文に使った本の巻末にある解説をそのまま写して提出していたのだ。驚いたのは先生はもとより、受賞者を選ぶお偉い大人たちの誰一人としてかなえちゃんの不正に気づかなかったことである。

 

私は混乱した。人に本を読めと言っておいて自分たちは読んでいないのではないか? 大人たちは自分が読んでもいない本の感想を評価していたというのか?たくさんの大人が関わっているはずなのに一人もその本の解説を読んでいないのか?

 

年長者に対する絶対的な信頼が揺らいだ瞬間であった。

 

そしてもっと驚くのはそんな大人たちに祀り上げられても慌てることなく、全校生徒の前で校長に表彰されたかなえちゃんの豪胆さだった。

 

私はかなえちゃんに聞かされた事実を誰にも言うことなく今日まで自分の胸にしまっていた。もちろん伝授された”コツ”を使ってやろうなんて胆力も持ち合わておらず、その後のコンクールでも"佳作”止まり。

 

 

ちなみに

 

 

かなえちゃんは教師になったらしい。

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