だからって終わってるわけじゃない

アラフォー、バツイチ、ヒキニート、だからって終わってるわけじゃない・・からツライのかもしんないけど

おもしろい話 2

続き

 

 

・・・・帰っちゃおうか

 

邪心が芽生え始めた頃、低いエンジン音とともに颯爽と現れる1台の車。

 

「お待たせしました、どうぞ」

 

お金持ちとは聞いていたけれど、予想を上回るお金持ち。私でも知っている外国の高級車が目の前にあった。(これはあれかな、喜ぶべき。なんだろうな)   

 

私や私の周りだけかもしれないが、女性は男性がなんの車にのろうとまったく関心がないわけで

 

(そりゃ見合い当日に軽トラでこられたらちょっと引くけど・・かといってわざわざ家に帰ってまで、ご自慢の車をもってこられても・・)

 

私の思いなどつゆ知らず、運転席で微笑む彼。

 

「こうした方がいいですか?」

 

(ああ、オープンカーの屋根までオープン)
 
こういうのはトレンディーなドラマに出てくるトレンディーな人たちに似合うわけで、私たちがやったら完全になんか勘違いしちゃってる人と思われる。

 

(・・こっぱずかしい)

 

数分後、ヒーター付きのシートに座り風のように走るオープンカーに乗っていた。

 

「すごい、すご~い!」

 

うっかりサービス精神を発動してしまったがために、ひっこみがつかなくなっている 。

 

 

 

映画は無難に当時ヒットしていたアドベンチャー物を選んだ。

チケットはお見合い相手が買ってくれたので、お返しにフードメニューの所に並ぶ。

 

「飲み物どれにしますか?」

 

「すいません。じゃあコーラで」

 

「なにか食べますか?」

 

「俺はいいです。食べたかったら遠慮なくどうぞ」

 

「私は・・ホットドッグ買おうかなぁ。あっでも全部は食べられなさそう。持って帰るのもなんだし」

 

「よかったら俺、半分食べますよ」

 

「・・じゃあお願いします(何コレ普通のカップルみてえ)」

 

映画館の席に隣同士で座る。私はお見合い相手から死角になる場所でホットドッグを無理矢理2つに引きちぎった。何食わぬ顔をしてきれいに切れた方をお見合い相手に渡す。

 

映画が始まった。 

 

 

「おもしろかったですね~」

 

「ね~!あそこで敵がでてくるとはビックリ。あの女優、他の映画でもみたことあるような・・」

 

「あ~わかる!あれでしょ」

 

「そうあれあれ!」

 

なんだかすっかり打ち解けムード。お見合いなんて、私ごときが、とやさぐれ気味に鼻で笑っていたけれどおじさんが言ったように、友達作ると思って気楽にやればそんなに悪くないかもしれない。そう思いながら駐車場にむかうと私たちを待ち受けていたのは、一面の銀世界だった。状況が掴めずしばし呆然とする二人。

 

(そうだ、天気予報!)

 

出がけに見た天気予報、5年に1度の嵐がやってくると言っていた。この大寒波のことだったのか・・。あまりの景色の変わりように衝撃を受けていると、お見合い相手がさらに衝撃的な言葉を繰り出した。

 

「どうしよう、ノーマルタイヤだよ」

 

私は耳を疑った。

 

真冬の 雪国で ノーマルタイヤ 

 

聞き間違いだと思いたかったけれど、お見合い相手の顔色が真実と告げている。あの時わざわざ車を交換しなければ・・という思いが二人の頭をよぎったのは言うまでもない。後悔しても状況は悪化するばかり、仕方なく車に乗り込む二人。しかし雪の下はアイスバーン

 

 

 

 

 

「ひゃあああああ」

 

 

 

 

凍った路面にタイヤをとられて車は右往左往。シートがあったかいとか高級車だとかなんの足しにもなりゃしない。それにど田舎から峠を越えてやってきたため、中途半端に街を離れてしまったいま、この場所から帰れなければ「死」あるのみである。

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