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だからって終わってるわけじゃない

アラフォー、バツイチ、ヒキニート、だからって終わってるわけじゃない・・からツライのかもしんないけど

おもしろい話 4

恋愛

 続き

 

 

彼がトイレにたったすきに友達にメールする。

 

「・・帰りたい(T_T)」

 

「ガンバレ!」と一言、返事がきた。

 

(泣きそうだわ)

 

30を過ぎ、親や親戚から彼氏は?結婚は?と言われ続け、押し切られる形でお見合いに手を出してしまった。お見合い相手の彼だって悪い人じゃない、むしろいい人だ。けれど、これ以上何をどうがんばったらいい?わからない。

 

(結婚したら、一生微妙な話を聞かされるのかな)

 

暗澹たる気持ちになっていると、トイレから戻った彼がとんでもないことを言い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おもしろい話、してもいいですか」

 

 

 

 

 

 

 

 

一瞬返事に窮する私。そんな導入でホントにいいのかと問い返したくなる。

 

(今までのダルイ時間を帳消しにするようなどでかいネタ持ってるんだろうね)

 

と内心、指をボキボキさせるが一抹の不安がよぎる。

 

(いや待てよ、もしや)

 

・・さっきの彼の言葉を翻訳すると、つまりはこういうことではないのか。

 

 

― 今から話すおもしろい話のおもしろい箇所を見つけ、盛大に笑いなさい。またそのおもしろい箇所を400字程度にまとめ発表しなさい。 ―

 

 

彼がまっすぐこちらを見つめている。これはまずい展開になってしまった。最初に発動したサービス精神を惰性で続けてきたツケがここでまわってきたのだ。

 

(こいつはかならず笑う)

 

彼は確信していた。私を息を吸う。

 

「ずっと言えなかったのですがもう限界です。申し訳ないですが、今からおもしろい話を聞かせると言われてそれを笑うスキルを私は持っておりません。今まで反応していた私も悪いのですが、あなたが話そうとしているおもしろい話とやらがおもしろくないことは、もはや明確ですし私ももういちいち反応するのはダルイですので、今のはなかったことにして、帰りましょう」

 

なんて言えるはずがない。こうなれば乗りかかった船、彼から課せられた課題をクリアするほかこの事態を乗り切る方法はない。

 

「どうぞ」

 

先をうながすと、待ち構えていた彼が口を開いた。

 

「後輩の友達の話なんですが・・」

 

私は全身全霊をかけて彼のおもしろい話のおもしろい箇所をみつけおもしろがるべく、集中した。

 

「・・・ね?」

 

「はっ!」

 

「おもしろくないですか?」

 

・・・・笑う場所、というかオチがどこかすらわからなかった。

 

帰りのエレベーター、夜景を眺めながらさっきの話を頭の中で反芻しおもしろい箇所を探す作業に没頭する私、無言の空間を打ち破るようにお見合い相手の彼が言った。

 

「もう一件付き合ってもらえませんか?この後、時間があったらでいいんですが僕もまだ帰したくないですし・・」

 

「え?」


「帰したくない」

 

 

 

 

「「帰したくない」」

 

 

 

 

 


「「「「帰したくない」」」

 

一度は言われてみたかったセリフが、こだまする。二人きりのエレベーター、おしゃれなレストランでおいしいディナーと”おもしろい話”・・私は言った。

 

 

「門限があるんです、ごめんなさい(扉よはよひらけ~!!!!)」

 

 

その後、お見合いは実質コチラから断った形となり・・

 

「いい人だったのに。あんた性格おかしいんじゃないの?」

 

と散々母から罵られた。(友達つくるつもりで気楽に、じゃなかったのかよ)言い返したくなるが、セッティングする側なんて勝手なもの。同じ年頃の独身男女を、とにかくくっつければいいと思っているようだし。

 

最初は甘い言葉で誘いだしておいて断れば、ひどい言葉を浴びせられる。30を過ぎて独身・恋人なしというだけで何ゆえこんな仕打ち受けなくてはならないのか、私はお見合いなんて二度としないと心に誓った。

 ↓2度目のお見合い話も書く↓