だからって終わってるわけじゃない

アラフォー、バツイチ、ヒキニート、だからって終わってるわけじゃない・・からツライのかもしんないけど

おじんスープ

プールに行った。大量のお水がたぷたぷしている様が見たい。小一時間ほど眺めていたい。できることならたぷたぷの中を漂ってみたい。その欲求に抗うことができなかった。

 

プールには水がたくさんあった。日光が天井に反射してゆらゆら水の模様を作っている。

 

 

 

(まるで天国♡)

 

 

 

私は軽く準備運動をし水に入った。浮遊感と圧迫感でさっそく幸福に満たされる。周りを見回すと平日だというのに人が多い。若い女性の姿もあるがほとんどが60過ぎのおじさんおばさんに見えた。そこに全く違和感なく溶け込む私、とりあえず人の流れにそって歩いてみることにした。

 

 

 

 

館内のBGMは何故かaikoだった。

 

 

 

切ない乙女心を聞きながら水を漂うジジイババア。(あたしはパステル色のビート板で会いに行く スカートをひるがえすみたいに足は水をなで わがままな左足がこむら返りして あなたのやさしさに溺れてしまいたい~♪)なんて気分でゆっくり進む。

 

一応は右側通行と書いてあるがちょっと泳いでみたい人、歩きたい人、浮かびたい人が同じペースで進むことなど不可能で。・・結果、何となく前の人についていき、正面から人が来たらよけるという方式になっていた。

 

しかし、30分が過ぎても帰る人はおらずどんどん人が入って来る。水を見るつもりがどうしても視界におじさんが入りこんでくるようになった。前からもおじさん後ろからもおじさん。止まることはできない。

 

なんとかビート板にしがみつき、足をばたつかせていると。1人また2人とおじさんが追加されていく。もうおじさんだらけ、プールというよりおじんスープに入りにきた錯覚に陥る。

 

行きかう人をよけながら進んでいると、私の前を歩いていた若い女性がおじん海峡に突入するところだった。前方から4人ほどおじさんが歩いてきており、さらに女性の正面にはビート板でバタ足しながらクロールの息継ぎの練習をしているおじさんがそこそこのスピードで迫ってくる。

 

 

(危ないな。止まって待ってようか)

 

 

後ろの私が心配になるほど女性に残されたスペースは少なかった。しかし女性は止まらず、体をやや傾けおじん壁をすり抜けようと試みる。その時、ビート板で来たおじさんがぷはっと顔を上げ水しぶきが霧吹き状に女性の顔に噴射された。

 

「ぎゃ」っと声を上げそうになったが他人事、私は女性の様子を観察する。

 

女性は静かに海峡をやり過ごし、直後おじさんで構成された壁は崩壊、私は難を逃れた。一見なにも気にしてない風であった女性だったが、1度水に沈み身を清める。さらに、水から顔を出した直後我慢できなかったのか誰に聞こえるともない小さな声で

 

 

 

 

 

 

「地獄」と呟いた。

 

 

 

 

私は額のゴーグルを装着した。水泳帽はかぶっていたが、天国を地獄に変える力を持つおじさん達の力には脱帽である。

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