だからって終わってるわけじゃない

・・からツライのかもしんないけど

絵付き

アニサキスハル19 ―妙案―

ハルが亡くなってさらに数ヶ月が過ぎ みんな自室で眠るようになっていた。 夜、兄はタブレットで犬の動画をみている。 直後はみるのも辛かったはずで、入院中に撮ったハルの写真も全部消したと言っていたのに それからアイパッドが頻繁にプンと言うようにな…

アニサキスハル18 ー忍び寄るペットロスー

ハルがこの世を去って1週間が過ぎた。 母は私のだらしなさを嘆き、兄は憎まれ口をたたく。 いつもの日常が戻っていた。 かに思われたが 「おやすみー」 あれからずっと居間で寝ている。 リンと一緒に寝る権利を奪い合った末の雑魚寝だったが・・ おかげで母…

アニサキスハル17 ―あきらめない―

ハルは社交的な犬だったが、いつも歓迎されるわけじゃない 散歩中 出会ったワンコにご挨拶しようと、耳を倒し頭を下げて近寄っていくが必ず「ギャワ」と怒られる。向こうにある程度臭いを嗅がせてからアクションを起こそうとしても「ギャワ」 低い鼻で臭いを…

アニサキスハル16 ―入れ替わってる―

獣医さんから電話がくる。 明日手術になるかもしれないと言われ、家族でかけつけた。透明の扉越しのハルは朦朧としていて「とにかく出しやがれ」としゃがれた声で鳴いている。 点滴を抜かないように付けられたピンクのカラーが似合いすぎだ。 すかさず携帯で…

アニサキスハル15 ―キョキョ鳴き―

ハルが入院した。 朝、元気がなかったため 病院に連れて行ったところ 即入院と告げられたのだ。 「今思えばあのうれションも 体の変調からきてたのかな」 「あの時すぐ診せてれば・・」 「そんなこと言ったって仕方ないだろ!」 そうだ、後悔したってハルが…

アニサキスハル14 ーわかりやすい意思表示ー

家のひょうきん者としてお笑い枠を担ってきたハルだが、実はけっこう賢かったりする。 トイレに行きたかったら窓の前で鳴く、お腹が空いたら茶碗をくわえて持ってくる。寒かったら人を押し倒し無理矢理だっこ。 やりたいことがはっきりしていて、それを知ら…

アニサキスハル13 ー秘密の遊びー

ハルは遊び好きだ 問題は兄がいつも相手をできるわけじゃなく、妹犬のリンをかまおうにも、リンは力も気も強く怒られてしまう。 消去法的に家にいる人間、とりわけ暇そうなヤツの部屋に行く。 私はそんな彼女をプリンセス・ハルコーと呼んだ (閉じたはずの扉…

アニサキスハル12 ー楽園ー

「どーれ、庭の手入れするかな♪」 新居の庭ができ、兄は喜々としてバラの手入れに精を出す。 「プーン」 それを見ていたハルが窓に鼻をつけて鳴いた 開けてやると、庭に飛び出していく ドッグランを満喫するのかと思いきや・・ 尻から肥料をひねり出す ・・…

アニサキスハル11 ープロフェッショナルー

兄が家を建てるらしい 母も自分もいい年だし いまのうちスーパーや病院に通いやすい市街地に引っ越そうというのだ 「(兄が)結婚した時のために子供部屋も作るよ」 母は喜んでいたが 私は兄の本当の狙いに気づいていた 犬御殿 居間と廊下を仕切る扉には 犬ド…

アニサキスハル10 ー熟年夫婦ー

「ハル!ハルケン!ハルキチ!」 兄がハルに変なあだ名をつけはじめた (・・カップルにありがちなことだな) 「ハリポタ!ハバネロ!ハイネセン!ハリスヒルトン!モンハン!」 両手を広げ呼びかける中年男と 少し離れた所で立ち尽くす犬 なかなかシュール…

アニサキスハル9 ープライドー

父が急逝して数ヶ月後 今度はヒメちゃんが亡くなった 「ヒメちゃん、お父さんにくっついてっちゃったんだね」 母が言う。 ここ数年、ヒメちゃんは父の相棒として 毎朝2キロ程ウォーキングに付き合っていた。 朝日の中、黙々と歩く二人の姿が目に浮かぶ 「お…

アニサキスハル8 ードロボーヒゲー

父が亡くなった 急なことだったため頭が回らず 何をどうしていいかわからない。 「大変だったな、お父さん戻るなら布団用意しないと」 事情をきいたおじさんが駆けつけてくれた。 私は押入れを開け、布団をひっぱり出す。 そこにワクワク顔のハルがやってき…

アニサキスハル7 ―代替品―

兄の溺愛教育の賜物か ハルは甘えん坊の名をほしいままにした。 しばらく姿が見えないなと思うと ネットサーフィンする兄の膝で寝ている 兄が出かけている時は 母や私を代替品として活用した。 人で充電するアイボのようだ。 代替品といえば 「どうれ、ビー…

アニサキスハル6 ―濡れネズミ―

兄の提案で犬達を川に連れて行く。 山の中の清流なのに足場はコンクリートで整えられていて、犬を遊ばせるにはうってつけの場所だ。 蝉がうるさいくらいに鳴いている。 おしとやかな見た目とは裏腹に、実は泳ぎが得意なヒメちゃん。つくなり川に飛び込んでプ…

アニサキスハル5 ―空気を読まない空気―

ハルはすくすく成長した。 丸い顔に低い鼻、短い尻尾をクイッと動かして喜びを表すしぐさや 時折、笑いすぎた人のように「ゴッ」と鼻を鳴らすくせも愛嬌があってかわいらしい。 ただ気になったのが オナラの頻度だ。 毛の長さの違いなのか、高貴な出のせいか…

アニサキスハル4 ―テリア気質―

ハルを迎え数週間。ヒメちゃんの嫉妬はエスカレート 兄をめぐる女の戦いは熾烈を極める かに思われたが・・ 新人の徹底した低姿勢により、収束。 ヒメちゃんがすねることはなくなった。 夜、1人遊びが好きなヒメちゃんはぬいぐるみ相手にマウンティングをす…

アニサキスハル3 ―キャバクラの人間模様―

ヒメちゃんは、我が家で初めて迎えた血統書付きのワンコだ。 父の知り合いがオスとメスを飼っていて、子犬が産まれたからと1匹分けてくれたのだ。 家では野良育ちの流れ者や引き取り手のない雑種犬しか飼った経験がなかったが、それだけ犬の扱いには慣れて…

アニサキスハル2 ―あからさまに嫌そう―

兄と犬との出会いは突然だった。 家族でドライブしてた際、たまたまわんわんフェスなる看板を見つけて寄ってみることにしたのだ。 「色んな種類のワンコが集まってるんだって」 「ボステリいるかもな」 兄はジョジョの奇妙な冒険を読んで以来、ボストンテリ…

アニサキスハル1 ―ちょうどいい季節―

兄は犬が好きだ。 昔っから動物がたえなかった家なので自然といえば自然なのだが、いい年して浮いた話の1つもないせいか兄の犬熱だけが年々高まっているように思う。 休日の昼間 ふと見ると膝に犬を乗せ、世界の犬図鑑をめくっている。 車の助手席にはワン…

褒めて伸ばした才能

家の犬、警戒心が強く、他人が近寄ると 吠えるし噛みつこうとしてしまう。 散歩も常に前のめり、力いっぱいひっぱるので 目は充血し、ヨダレをたらしてゼェゼェ歩く様はまるで 地獄の番犬ケルベロス 母は 「あんたが大人しかったらどこにでも連れていけるの…

裏目

「顔、黄色くね?」 やぶからぼうに兄が言った 年も年だし肌がくすみがちの日だってある 私は気にしなかった 「なにアンタ黄色い顔して!」 母が叫んだ はいはい 二人が揃って私に文句をつけるのも 珍しいことではない そのうち収まるだろう とのん気にかま…

火を使わないフランス料理

ハルミちゃん家に遊びに行くと たまにハルミちゃんのお姉ちゃんも加わることがあった。 お姉ちゃんのヨシミちゃんは強気なハルミちゃん とは違い優しい性格だった。それに 新しい遊びを考える天才で お母さんのメーク道具を使って バービーちゃんを夜の女に…

アンバボ脳

昼間、映画を見ていたら 母が横に座る 始まってだいぶたっていたので簡単に内容を 説明した。 「この人は事故で脊髄を損傷しちゃって車椅子なのね で、この人は最近介護人として雇われた」 「知ってる」 なんだ、犬と遊んでると思ってたけど ちゃんと見てた…

わがまま娘 -恐らく史上最年少のマウンティング-

「これこれ、私が欲しかったやつ」 幼馴染の家、私はテレビを指さしながらミシン事件をボヤいていた。 「チラシまで見せたのにさ」 「ショックだね」 「しかも兄と二人して説教だよ」 「え~」 意地悪な母と兄に叱られる日々、唯一理解者である父は不在がち…

わがまま娘 ー失われたクリスマスー

小5までサンタを信じていた クリスマス前になると欲しい物を書いた紙を神棚に供える。 一番天井に近いからという理由でそこに置いていたのだが、和洋折衷も甚だしい。 それに知らないおっさんが屋根裏から手を伸ばし、リストを持っていくことを想像するとめ…

兄のパンティー

兄は子供うけがいい。 そしておばさまうけもいい。 神経質で外面だけ良いのが 清潔感があり優しいと解釈され 好青年に映るのだろう 犬好きのハンニバル (人肉を食わないだけで思考回路は一緒) と思っている私には 私を選ばず兄に近づく人の気がしれない の…

兄の願望

録画したプロジェクトランウェイを見ていたら インターフォンが鳴って、私は何とはなしに出て行った。 玄関を開けると 宅配便の爽やかお兄さん 大きな箱を抱えている 「あっ、どもー」 ハンコを取り出す手が震えた。 何故なら宅配便のお兄さんが抱えていたの…

File No.17 ハルミちゃんのお兄ちゃん

小学生の頃、よく遊んでいたのが2つ年上の女の子ハルミちゃんだった。 ハルミちゃんは3人兄弟の末っ子で 上にお兄ちゃんとお姉ちゃんがいた。 気が強く面倒見がいい性格で 男子との決闘の際も先陣をきって闘っていたし (決闘を仕掛けたのもハルミちゃんだ…

子供はワルが好き

兄は子供に人気がある。 親戚の子たちが家にくると真っ先に兄の元へ駆けていく。 金だと思う。 お年玉をエサに子供達をたぶらかしているのだ。 健全な心の持ち主である私(小5のお年玉で対話可能距離7メートルの無線機を購入)は経験上、子供に大金を預けても…

File No.6 最低人間s

「かわいい人」というくくりで今まで出会ったおもしろい人・ちょっと変な人やイラっとする人たちを紹介している。兄は決してかわいくないが、視点を変えることで幼い頃のトラウマ思い出がプラスに転化できるのではないかという思いからこれを書いている。 「…