だからって終わってるわけじゃない

アラフォー、バツイチ、ヒキニート、だからって終わってるわけじゃない・・からツライのかもしんないけど

File No.16 新手の変態

チャットで変態とエロ話をしている変態女と思われていそう

だが、普通に同性と話したりするし

 

時に恋愛相談を受けたり

「世の中変態ばかりじゃないよ」と励まされたり

爽やかな展開で終わるケースもたまに、だがある。

 

その中で一番奇妙なやり取りをした人の話を書く。

 

夜が更けるにつれ、チャットに変態出現率は高まる

挨拶代わりに「チン〇!」とか言ってくるやから

 

一見まともに思えても相手が会話を提供して当然

俺の心を開いてみろよ的な、俺様マグロ男

 

私は彼らをふるいにかけるため、挨拶ができない

打っても響かないまたはオウム返しだけの場合

退出することにした。

 

だから

その人に「よう!」と言われたとき

 

退出という言葉が頭をよぎり、実際退出ボタンに手が伸びた

 

が、「よう」も挨拶に変わりはない。そこで判断するのは

早計だと判断し

 

とりあえず「よう!」と返す

 

「久しぶりじゃのう」

 

相手が誰か特定できるはずのないチャットルームで

久しぶりとはどういうことか、私は戸惑う。

しかも「じゃのう」って何?

今どきご老人でも使わないだろうに。

 

調子を合わせてみる

 

「久しぶりじゃのう」

 

「いつぶりかのう?」

 

なんとなく理解した。シミュレーションゲームのような

ものだ。設定を高校のかわいい同級生ばかりの教室では

なく、お年寄り同士の久々の再会としているだけ。

 

(なんて斬新、新手の変態かしら)

 

と思いつつ相手に惹かれ始めている自分がいる。

 

「そうじゃのう、あれは20年前かのう」

 

とっさに二人の思い出話をでっちあげると相手も

そうじゃそうじゃとのってくる。

 

間違いない

 

私たちは作りたての思い出話に花を咲かせた。

 

たまにはこんなチャットもいいもんだと思いながら

老人ではなく本体の方にも興味が湧く

 

「おぬし、暇なときは何をしているのじゃ?」

 

「歌なぞ歌っておる」

 

意外な答え、聞いてみたいのうと言ったらさらに

意外な答えが返ってくる

 

「ユーチューブにあげておる」

 

心臓が高鳴る。ここじゃと相手は聞くまでもなく

リンクを貼ってくれた。

 

再生ボタンを押すと

 

中学2年生くらいの女の子の声で聞いたこともない

歌を歌っている。

 

曲調とボクのキミのとしきりと言う歌詞は、少年少女が

マシンを駆使して悪者と対峙するアニメの主題\歌を連想させた

 

「これはおぬしが作った歌かのう」

 

「そうじゃ」

 

5曲ほどあって気が付いたら全部クリックしている。

夜中に見知らぬ女子の自作の歌を夢中で聞いてる自分に

軽い恐怖を覚えたがやめることができなかった。

 

「いい声じゃのう、アルバム発売して欲しいくらいじゃw」

 

「最近は忙しくて歌っておらぬ、どうしたらいいかのう」

 

中2といえば部活に恋に勉強に進研ゼミにと大変だろう。

私は急に愛しくなって

 

「やりたいことをやるのじゃ!」

 

と熱弁をふるった。若いうちに一生懸命やればきっと実になる

(私だってあの頃から何かを頑張ってれば今頃・・)

年よりが若者に説教したがる気持ちが少しわかった。

 

 

 

「わしは27才じゃ」

 

 ズコーッ

 

老人設定の27才を14才と勘違い。わけがわからない。

かわいい声のその人とはそのまま老人設定で話し、別れた。

 

彼女のアルバムがでたら絶対買う 

需要と供給 後編 ーIKKOさんに見せると言われれば一応見ておくー

 キーボードを打つ手が止まった

 

気軽にボールを投げっこしていたらいきなり剛速球を返された気分だ。

 戸惑いを察したのか彼が続ける。

 

「いや、さっき話してた女の子にも聞いたんだけどさ・・」

 

 (聞いたのか?!)手がキーボードにかぶりつく。

「相手はなnと?」

 

「そんなもん見たがるのネカマしかいないって」

 

  (だよねー)

 

この時点でチャットルームを去る選択肢も浮かんだが、相手に意見を聞いておいて去るのも気が引ける。彼は真剣に女性側の意見を聞きたがっているのだ。

 

「正直に言いますね」

 

「うん」

 

「特に見たいとは思いません」

 

「マジか?!」

 

彼が心底驚いていることに驚いたが、私なりに理由を説明する。通常、女性がチンだけに興味を持つことはない。考えてみれば好きな男性のチンでさえ単体で見たいと思ったことはない、ましてや見ず知らずの人のチンなんて・・

 

「全然?!」

 

まぁ、IKKOさんに見せると言われれば一応見ておくかもしれない。だけどそれはレアケース。黄金の滝の向こうに不老不死の実がなる木があるよという話を聞いた直後、偶然黄金の滝の前を通りかかったような感覚で・・

 

普段素敵だなという男性に出会ったとして「かっこいいなチン◯見たい」とは思わない。オーランドブルームの「ヌーディストビーチ画像」ってゴシップニュースには釣られたけれど(あれは笑った)それはオーランドがヌーディストビーチというギャップありきの話だし、もしジョシュハートネットに「俺のチン◯画像、見たくない?」と言われても嬉しくない。というか言われた時点で萎える。

 

「本当に見たくない?なんなら動画でもいいけど」

 

彼は現実をなかなか受け入れられずにいた。ここまで言うには理由があるのだろう。もしやと思った私は、以前誰かに見せた経験があるのか聞いてみた。

 

「あるよ!」

 

「(・・やっぱり。)それで相手の反応は?」

 

「「すごーい♡」とか「立派だね!」って褒めてくれた」

 

脳裏に某大型掲示板でチン画像を晒されている彼の姿がよぎる。

 

結局、彼は私がいくら話しても女性側の意見を受け取ってはくれなかった。

(私も彼が送ると言ってきかなかったチン画像を受け取ってはいないからおあいこである。)

 

しかしネットの世界は広い。

 

私や私の前に話したという女の子の意見が全てというのは傲慢だろう。

だって間違いなく、需要と供給が成立しているのだから。

 

 

 

 

 

チン◯を見せたがる男とチン◯を見たがる男

 

みんな幸せならそれでいい。 

需要と供給 前編 ーインターハイ行ったやつと普通に練習してたしー

 

需要と供給

 

経済とかの難しい話は置いて

ここではあるモノを必要とする人とそれを提供できる人の関係性を表すのに使っていく。

 

例えば、婚活パーティー

髪型もネイルもばっちり、服装もトレンドを取り入れ完璧とも呼べる女性がいたとする。しかし蓋を開けてみると男性が群がるのは清楚でおしゃれ過ぎないタイプ。

 

女性の場合、メイクやファッションは自分に自信を持たせたり気分を上げる道具でもあるので、おしゃれが悪いわけではない。

 

ただ「婚活」に焦点をしぼった場合、需要に応えられていないというだけ。

 

同じ会場に、腕っぷしが強い・イカす車(またはバイク)を所有しているのをアピールしている男性がいる。しかし、女性の目にはからんできた酔っ払いに立ち向かう男性より、いさかいを起こさずうまく場を収めてくれる男性の方が数倍かっこよく映るもの

 

男性にとって筋肉や武術スキル・所有している乗り物が、女性のメイク同様の効果をもたらしてくれると考えれば、それも大事な要素だろう。しかし

 

「俺、ハーレー乗ってんだ」

 

が殺し文句にならないのも事実

 

ちなみに私は以前、チャットで知り合った男性に

「(空手で)インターハイに行ったやつと普通に練習してたし」

という謎の自慢をされた経験がある。

 

つまり、需要に対し間違ったものを供給しようとすることが男女間のすれ違いの原因になっているんじゃないかしら

 

と、深夜のチャットルームで見知らぬ男性と話しながら私は思う。

 

相手は同世代、お互いその日何度目かのチャットで疲れていた。

 

表面的な会話は抜きにして

男性・女性目線で率直な意見を言い合おうということになる。

 

私は男性はなにゆえエロ話をしたがるのかと聞く。

 

普通に話していたつもりがバーチャルデートに発展したり、最初からエロ話をふられたりする。その流れであわよくば会ってエッチなことをしたい、というのならまだ理解できる。

 

住んでいるところも遠く、生涯会うこともないであろう相手とエロ話をすることに一体どんな意味があるのか、男性に聞いてみたかった。

 

彼はみんながみんなそうじゃないと前置きした上で

 

単にエロ話が好きなんじゃないかなと言った。直接じゃエロ話にたどり着くのに時間がかかる。会って、打ち解けて、アルコールなども摂取しつつ相手がエロ話OKなタイプか見極めて、食べて祈って恋をして、といくつもの工程を経なくてはならない。ネットならそんな手間をふっとばしていきなり本題に入れるのだ。

 

なるほど

 

女性がなんでもない出来事を話すのが好きなように、聞いてもらうだけでスッキリってことなのか。以前ここで述べた述べた仮説が裏付けられた気がした。

 

「俺も聞きたいことがあるんだけどいいかな?」

 

「いいですよ」

 

 

 

 

 

「俺のチン◯の画像、見みたくない?」

沖縄編16 ー手握りは38度までー

 

博物館を出てタクシーを拾う。

劇場の入ったビルを指定したのだが、全然知らない道にたどり着いた。

 

「これ以上は車じゃいけないので」

 

とビルの裏手で降ろされる。

ヒールのない靴を持ってこればよかった、靴擦れが痛い。

 

運転手さんに教えてもらった通り進んでいくと、ちょうどドラッグストアがみえたので、そこで絆創膏を買うことにした。数枚で事足りるのだが、箱でしか売っていない。仕方なく一番小さい箱を手にレジに向かった。

 

お笑いライブを見る前に、お腹を満たしておく必要がある。

 

目についたハンバーガー屋に入った。近所で慣れ親しんだ大型チェーン店にはないメニュー、レジ前には特にお勧めらしいハンバーガーの写真があった。イカフライみたいのがのっていたので、店員さんに確認すると

 

「フライドオニオンです」との答え。

 

迷わず注文した。

 

2階に上がり1人用の席で食べる。

ゴマが香ばしいパンズ・とろけるモッツアレラチーズ・カリカリのオニオンリング・トマトにパティ

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5段階評価したらきれいな5角形ができそうな至高の逸品だった。

大口開けすぎて口角が裂けても後悔のないうまさである。

 

元夫へのお土産に買っていこうかという考えがよぎるが、日持ちしないだろうし持って行けたとして、出来立てのおいしさは伝わらないだろうから諦める。 

 

この完璧なバランスを有するハンバーガーを食べながら思う。

私たちのバランスはどうだったのだろう?

 

とても気があい、信頼できる友人から夫婦になった元夫と私。

一見理想的な結婚に思えたが、今は数百キロ離れた場所で別のことを考えている。 

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試しに私と夫の5角形を結婚前と後で比較してみる。

項目はやさしさ・行動力・スタイル・清潔感・堅実さの5つ。

 

結婚前は両者、自分をよく見せたいという気持ちが働くので多少気張っていた部分もあったと思う。それが顕著に現れているのが結婚後、お互い身なりに気を使わなくなったしやさしさも減った。

 

不思議なもので、結婚後の二人の点の高い方を繋げていけば、バランスの良い5角形ができる。(なるほど。こうして夫婦は補い合ってゆくのだな)と納得しかけるが、ことはそう単純ではない。

 

普段なら穏和な夫でも、行動力のある妻が頑張ればいいだけなのでうまくいく。しかし、40度の熱を出し内側からドラの音が響くような頭痛にうめいているときに、夫がそっと手を握ってきたとしたら。

 

 

 

 

 

帳り倒したくなりはしないだろうか。

 

 

 

 

 

"手握り"は38度まで40度以上は、しかるべき処置か病院の手配だと思う。 

 

だけど夫にしてみれば「行動力は私に任せて」と勝手に引き受けていたくせに、熱が40度あるからといって「何もしてくれない」と責められるのはお門違いというもの、やりなれていないことを急に求められてもできるはずがないのだ。

  

"いざとなったらやってくれるだろう"と"子供ができたら彼も変わる"は

 

都市伝説と思っていた方がいい。

 

私も夫に腹をたてるぐらいなら、予め夜間診療に応じてくれる病院を調べておくべきだった、と時を経た今は思う。

 

もちろん「料理は私、子供をお風呂に入れるのはあなた」など、夫婦で担当を決めれば無用ないさかいを避けられるし、家事の効率化をはかれる。しかし、担当外のことだからと相手に任せきりにしてしまうのは間違いだ。イレギュラーな状況に陥った場合に困るのは、自分なのである。

 

お互い自立した大人という自覚を持って、自分のことは自分でやるぐらいの考えでいるぐらいがちょうどよいのではないか。

 

とはいえ離婚して既定路線から外れた私だ、夫婦関係において何がベストかなんて断言できるはずもなく・・

 

ただ現時点でいえるのは

 

靴擦れができた道の先にドラッグストアがあったり、何気なくよったハンバーガー屋で最高の御馳走にありつけたりもするから

 

(既定路線から外れても、それはそれで意外にやっていけるものよね。)

 

 てことぐらい

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小さすぎた絆創膏をはって劇場へ向かう。

沖縄編15 ー他人のちんすこうー

 

おい

 

おいっ

 

なんで私はこんな所まできて他人のちんすこうをみている?!

 

 

いい旅夢気分に浸っていたら、虹の斧で頭カチ割られた。 

目の前の棚を蹴倒したい衝動にかられるが、もう一人の自分の声がそれをとめる。

 

「落ち着け、これは芸術。アートよ!ヴィーナスの誕生を思い出して!」

 

あれは絵だし、隠すとこ隠してる。

 

ダヴィデ像なんてどうよ!もろポロリ!しかも立体だかんね!!」

 

神がかったマッチョのイケメンだよ、ミケランジェロだし。いやすごい人が作ったからどうとかじゃなく、心の準備できてなかったから

 

「そんなに騒ぐようなモノ?!尻もちんすこうも生活よ。生活こそアートじゃない!」

 

だけどダヴィデ像には顔があり腕もある。あれがちんすこう単品でコロンと置かれて御覧なさいよ。誰だって「だから何?!」ってなるでしょが

 

「トルソ!トルソの美学ってやつ?!そっち系ですから!!頭や手足をそぎ落とした胴体部分だけの彫刻をトルソって言うらしいけど、そぎ落としてそぎ落として、落とした方にフォーカスあてちゃっただけなのよ。たまたま」

 

タマだけに?へっくだらない。それを言うなら、この棚が額縁でのってる写真が作者自身を表すモザイク画ってことではないの?できることなら別の場所でモザイク使って欲しかったけどね。

 

「1つ1つを凝視してはダメ。全体でアートを感じるの。」

 

うーーーーーん

 

 

 

しかし、ちんすこう・・

 

これは作者からの挑戦状なのだ。ちんすこうごときでなんだかんだ言うくらいならアートを語るに値しないと、フルーツポンチを逆から言わせて喜んでいる小学男子と同じレベルだと、認めることになる。

 

っていうか「ツールフ」て何?

 

「チン〇」いわせたいがために後半、意味不明になってるじゃん。それとも私が知らないだけでちんすこうには時々「ツールフ」という現象が起きてるの?足がつるみたいな感じで「あっいま、チン〇ツールフだわ」って感じで・・私はその場を離れた。

 

アートがどうこうよりも「朝っぱらから他人のちんすこうなど見たくはない」という気持ちが勝ってしまったのだ。 

  

敗北感に包まれながら中庭に出る。

 

 

 

ビルの足場のおばけみたいなモニュメントが立っていて、小鳥の遊び場になっていた。

 台湾あたりから来たと思われる家族が、しきりと写真をとっている。

 

(私も順調に結婚生活が続いていたら、あんな風に家族旅行なんかしてたんだろうか?)

 

幸せそうな家族を見るたびに、あったかもしれない未来と重ね複雑な気分になる。

 

出口近くに伝統的な沖縄の民家があり、裏庭にシーサーの石像(おそらく実物大)がいた。隣に回って写真をとる。

 

 

 

(・・メスかしらオスかしら)

 

 

 

地面に膝をつき、かがみ込む私に突き刺さる視線。さっきの台湾家族がすぐ近くにいた。

 

男の子が何か問いたげな視線を送ってくるので、私は「あっもうこんな時間!いっけなーい」という顔をして出口に向かう。台湾家族に

 

この石像の前では膝をついて祈りを捧げなくてはならない。

 

という間違った情報が焼き付いてないといいが 

沖縄編14 ー素晴らしい思いつきー

 

初日からレンタカーをホテルの駐車場に停めっ放しだ。

 

わざわざ借りる必要なかったかもな・・

 

窓に流れる景色を眺めながら、タクシーの運転手さんに聞いてみる。

 

「海とか遠くまで送り迎えしたことってありますか?」

 

「・・・」

 

返事がない。たぶん、私の声が小さいんだろう。初日のレンタカー会社のドライバーさんの時と同じだ。悪くとらえ意地を張っても、自分が損するだけである。

私はもう一度、こんどは若干腹に力を込めて声を発した。

 

「海とか・・」

 

「ありますよ、遠くなら空港から水族館まで行ったって人もいますし」

 

 

(聞こえてたんかい)

 

 

しゃべるのをやめた。

 

 

ついた 

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沖縄県立博物館

独特の外観はグスク(城や斎場)の石垣をイメージして作られた、らしい。

小学生の頃通学路で、電気の険針員よろしくブロック塀の間のクモの巣のはり具合を調べていた私は、全部の穴をチェックしたい衝動にかられた。(見た限りクモの巣が1つもないことに驚く)

 

広いロビーには、パラシュートのような柱が何本も降りてきていて、丸くくり抜かれた天井からやんわりと陽の光が注いでいた。

 

人もまばらな空間を、サンダルをパタパタいわせないよう注意しながら歩いていくと、脇にテーブルが置いてあり重箱がのっている。

 

 

 

 

試食かな。

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お皿に箸とは本格的。せっかくだからちょっと頂こうかしら・・と思っていると

職員の女性がやってきて、それは正しい並べ方など子供たちに楽しみながら体験してもらうためのレプリカだと教えてくれた。

 

久々にまともに人と話した私は、食品サンプルを食べようとしていたことなどすっかり忘れ、何故だか職員の女性に一緒に写真に写ってはもらえないかとお願いする。

 

戸惑いながらも笑顔で映ってくれる職員の女性。

 

そうだ、これからはしゃべった人に一緒に写真をとってもらうことにしよう!

 

帰って家族や友達に見せれば、いかにも充実した一人旅をしてきたようにみえるじゃないか!!素晴らしい思いつきに胸躍らせるが、その後誰とも話さないので写真を撮ることもない。

 

博物館を見学した後、同じ建物内にある美術館に寄る。職員の方はみんな丁寧で、展示物の間に座っている方でさえ通り過ぎる際、一礼してくれた。

 

その中のお1人が「どうぞ、奥の写真展もご覧くださいと」勧めて下さったので、言われるまま細い廊下を歩く。

 

展示室に入っていくと、アルミの支柱に釣り糸を渡して作ったような棚があった。

透明の糸の上に写真が並んでいる。光の少ない写真の中に生活を切り取ったような風景が映っていた。路地・子供

 

お尻

 

そうだね・・生活、忘れがちだけれど生尻も生活だ。うん。男性のものと思われるそれは肉感がなく、両サイドに痩せて頬がこけている人のように緑がかったくぼみがある。

 

生活感でてるなー

 

自分を納得させ進んでいくと・・もう1枚の写真の前で足がとまった。

見間違いじゃないかと目を凝らすが確かに映っている。

 

股間

 

沖縄に来て2日目、私は見知らぬ男性の股間を凝視していた。

沖縄編13 ―ちょんまげふんどし姿の女にしか欲情しないという変態的な性癖―

 

いつから起きていたのかわからない、手探りで携帯をとり時間を確認する。

 

4時だった。

 

旅の疲れ、室内と外気の気温差に適応しきれない体、眠り薬

それらをはねのけての4時間睡眠。

もう繊細なのか図太いのかわからない。

 

(オーケー、かえって都合がいいさ。)

 

今日は朝日を見に行くのだから。ネットで調べたら東の海岸にいい場所があるらしい。ゆるい計画性、独断即決、なんと気持ちがよいことか。

 

 

友達はまだ小さい子供に離乳食を作るため、布団から出たころかもしれない。

 

 

突然焦りのような感情がこみ上げてきた。

 

 

みんな一生懸命働いてるのに、私だけのん気に沖縄

同世代の人たちは仕事でキャリアを積んだり、子育てしたり。

会社員・主婦・母親・エステティシャン。なにかしらの肩書を持っていて、ある程度の地位についていて然りの年齢だ。

 

私はここで何をしているの?人に言えるような肩書は全部なくした。

 

「楽しむしかないよ」

 

元夫の言葉を思い出す。

きのう遅くまで電話で話していた。離婚後も食事したり、おもしろい動画を見つけたらメールで教えあったりしている。沖縄行きを後押ししてくれたのも彼だけだった。家計が一緒の頃なら決して許してはくれなかっただろうから、少し寂しい気もするが、二人の関係はこの形で落ち着いている。

 

離婚を考えていると打ち明けた時

 

親や友達はわかりやすい説明を求めた。借金だとか暴力だとか浮気癖だとか、ちょんまげふんどし姿の女にしか欲情しないという変態的な性癖が発覚したとか

 

「それじゃあしょうがないよね」

 

と言える飲み込みやすい理由を提示する必要を感じた。

独身の頃は気ままに旅に出かけたり、恋愛を謳歌していた友達でさえ"我慢が足りない"と私を責める。

 

一度結婚したのであれば続けるべきなのだ。

 

みんな我慢してるのに1人だけ抜けるなんて許さない。そんなのズルい。切羽詰まった圧力があった。

だけどなだめたるように助言してくる人達の中に、私たち夫婦が陥ってしまったどうしようもない負のループを断ち切る方法を教えてくれる人はいない。

 

「自分で自分を縛るところあるよね」

 

「どういうことですか」

 

「なにかやろうとしても、あれこれ考えて動けなくなるでしょ。」

 

「そんなカードが出てるんですか?」

 

「ほら、ここに」

 

占い師さんの指したカードには、ロープでグルグル巻きにされた私の姿があった。

 

 

 

 

ちょっと横になるつもりが二度寝していたらしい。

カーテンから漏れる光が眩しかった。

 

(朝日は明日に延期だな。どうせ上るし)

 

今日もお笑いステージの予定は詰まっているけれど、開演までどこかに行こう。

そう遠くなくて一人でも楽しめる場所、私はコンビニで買った大根サラダの袋を開け、ドレッシングをかける。袋に割り箸をつっこみながら、ホテルのロビーでもらったパンフレットを眺めていた。